週末、昔の仕事仲間と久しぶりに集まる機会を得た。

忙しい合間を縫って幹事さんが選んでくれたのは
銀座の「六雁」という割烹。

和食っぽくないアーティスティックな料理写真で、
最近の雑誌をにぎわしている店だ。

ウリは広々としたカウンター。
板場の様子がここまでよく見えるところも珍しい。

オレらは6人だったから、
ビルの中とは思えないほど天井が高くて気持ちいい個室。



先に感想を書くと、
ここまで「食」の楽しさを提供してくれる店は
ほかに思いつかないほど。



盛り付けにこめられたプレゼンテーションの意識、
食材に対する気迫、

味わいのコンビネーション、
そして何より、美味しいこと。

いずれもが「無二」のものを感じさせてくれた。

テレビで観たスペインの「エル・ブジ(ブニ?)」が
これに近い感じかな?


メニューは「季節の野菜コース」と「おすすめ料理」のふたつ。

幹事は3つずつをオーダーしていたから、
それぞれ味見しあって、両方楽しめた。

野菜コースの前菜三種は3人それぞれ異なる器で。

内容は、筍の木の芽和え、嫁菜の松実和え、ベリー類の白和え。
味わうことより先に見た目の楽しさに話が集中。

お吸い物(呉汁)

呉汁ってのは大豆のすり流し汁。
つまりは豆乳スープって感じ。
呉汁は味噌仕立てにすることが多いけど、
これはだしの香りが生かされた清冽な汁物。
大豆の甘さに癒された。


おすすめ料理の煮物椀は、蒸し黒豚の沢煮椀。
言わば豚の角煮がお吸い物。
これが、なんとも上品でまた感心。

お造り

内容は、鮃、あおり烏賊、赤貝。
いい物を使っていい仕事してあるからそれぞれに舌鼓。


さらにすごいのは、全員異なる器で、
しかもガラス器や金属製などありきたりじゃない素材。
おめめパチクリ、お口アングリ(語彙が少なくてはずかしい)

朝摘み野菜のおひたし

単純な料理でありながら、
それぞれの持ち味が調和して、
味わいは複雑にして滋味横溢。
その場を削ってかけてくれた鰹節が、
味覚をさらに刺激!!

野菜の吹奏楽(ふきよせとルビがふってあった)

炒め煮って感じかな。
調味料ではなく野菜自体の味が主張しあい、力は拮抗。
実力者のコラボレーションと言うべきか。

こちらの野菜コースでは106種類の野菜を使うとか!!
106種類の野菜の名前なんて出てこないよ!!

「坊さんのタンパク源」(焼き物)

湯葉のかば焼。精進料理なり。
食感の豊かさと香ばしさにしばし陶然……。


おすすめ料理の焼き物はさわら味噌漬。
割烹の焼き魚に目がないオレはこっちに軍配。

「坊さんのタンパク源2」

変わり味噌田楽。
味噌漬け風の豆腐に乗ってるのは、
イチジクやら蕗の薹やら木の芽の田楽味噌など。
この器、熱々で最後まで全然冷めない。なんでだろ?

炊き合わせ

春ならではの若竹煮。
味はもとより、歯ごたえの良さにやられた。
木の芽の香りを特筆しとかなきゃ。

??

献立には「MODOKI」の文字。
もどきは擬製料理っていう精進料理のテク。
葛でとじた豆乳を焼いた白子もどき、
肉厚しいたけのアワビもどき、麩の角煮もどきは、
アイディア、内容ともに秀逸。

でもやっぱり本物がいい。

おすすめ料理では蒸し鮑が酢の物仕立てで登場。
しばらく笑ってたくなるような妖しい美味!

酒肴(かな?)

献立には「野菜のオセロ」と書かれていたが、
こんな姿だったとは。ホント楽しい。

kushi揚げ

野菜コースはたらの芽、一寸豆、蓬豆腐、椎茸。
おすすめ料理はアスパラ、稚鮎、牛フィレ、蛤。
なんとも上品で、小さいのに食べ応えありで、まさにコースのクライマックス。
塩は英国マルドンのもの。ちょっと鋭さのある味が揚げ物によく合ってた。

お食事

炊きたてご飯と献立にあったんだけど、
出てきたのは春の五目寿司!!
「板場が頑張っちゃって」と配膳係。
いやぁ、見事なもんだ。

味噌汁は信州味噌仕立(岩海苔)

岩海苔は「十六島海苔」と書いて「うっぷるいのり」と読む。
十六島とは島根県の海沿いにある地名。
以前、取材でうかがったことがあるけど、
口にするのは今回が初めて。
非常に稀少かつ貴重なもので、ほとんどは出荷され、
地元では唯一お雑煮に用いられている。
香りといい歯ざわりといい、
食べるものを幸せにしてくれる味わい。

香の物

これ見ると炊き立てごはんが欲しくなるのが日本人。
で、厚かましくお願いしたら快く出してくれた。

デザート「醤油アイス」

ホントはおむすび形になってたんだけど、
食い気に走って写真撮る前に食っちゃった。
まわりには米を揚げたもの(ポン菓子みたいな感じ)で、
有明のりが添えてあって、
その組み合わせには感心と言うか放心というか……。

ちなみにおすすめ料理は牛蒡アイス。
これまた絶品。

「百合根と苺の3乗」

この美しさ!あでやかさ!!
百合根あんに苺と苺ゼリーが重ねてあって、
そえてある粒粒はフリーズドライの苺。

おすすめ料理のは「冷たい呉汁」。
しゃれた一品で、みんなニコニコ。

DAGASHI

駄菓子といいながら、金平糖や出雲の祝い菓子など、
日本ならではの手わざで作られたものばかりで、
最後まで話題を盛り上げてくれた。



配膳係の人は、食材や調理に関して即答はできないけど、
板場に確認してきちんと回答してくれる。

もっといっぱい聞きたいことあったけど、
仕事じゃないんだし、まいっか。



飲み物は日本酒、焼酎のほかにワインリストもあり。
われわれは日本酒、「真澄」、「司牡丹」、「七笑」の順に飲む。
ガラスや磁器、錫(だっけか?)の片口は、
いずれも注ぎ口がほっそりとした繊細なもの。



で、お会計。
野菜コースは12,600円~、おすすめ料理は15,750円~。
飲み代も含めて、ひとり21,000円。

単純に金額だけを聞くと安くはないが、
ここまで楽しませてもらって、この値段は、安い!!!


帰り際、それぞれに渡されたのがこれ。

中には駄菓子とショップカード。
最後まで気が利いてんな~~。


この店は2フロアあるそうで、
帰りに上の階へ案内してもらった。

輪島の角偉三郎作の大きな漆のテーブルがあって、
周りのボックス席が設けられた空間は、
主に貸切パーティ用のものとか。

こちらのお店はブログ でレシピやら店舗運営やら、
何でもオープンにしている。


ここまで教えていいの?と余計な気遣いをしちゃうけど、
その気構えが素晴らしいと思う。


昔一緒に仕事をした懐かしい人々とのひとときは、
時を経てもなお色あせない思い出があふれ出して、
話は尽きることがなかった。

それが、料理のおかげでさらに盛り上がり、
さらに続いていくことを確認しあった。

この店を選んで大正解。
幹事さん、アッパレ!!!

しかし、食うことにこんなに興奮するなんて、
久しぶりの体験だ。