伊香保温泉に新しい旅館ができたとのことで、
1泊の内覧会に参加した。

宿名は「奥伊香保 旅邸 諧暢楼(かいちょうろう)」。

地元の老舗旅館がビルの一角を改装したもので、
「旅邸」とは旅先の邸宅という意味があるとか。


まずは施設。

2階にフロントがあり、
半露天か露天風呂付き和モダンの部屋が3室。




1階には純和風の部屋が5室で各露天風呂付き。




小さな部屋でも50平米あり、居住性は抜群。
オレが泊まったのはこちらの部屋。

縁側に設けられた露天風呂に入ると、
山が借景になった庭を望み、
ビルの一角とは思えない自然環境。
雪もまた気分を盛り上げていた。
(仕事上、歓迎できないんだけど)

室内に目を転じると、最新旅館にありがちな、
デザイン優先でも安普請なんてことは皆無。

すみずみまで高級建材が使用されていて、
アメニティや調度品など、非の打ち所なし。

まさに一流のもてなしだ。

その最たるものが寝具。
アイダーダウンという軽くて薄い掛け布団に、
薄めなのに体にフィットして心地よい敷布団。
さらに、水や空調はすべてイオン化がなされていて、
安らげることこの上なし。


2階には「セント グレゴリー スパ」があり、
専用の食事処「茶寮」が7階に。
本体である旅館の露天風呂や大浴場も利用できる。


さてさて、旅館の魅力を語る上で、
かなり大きなウェイトを占めるのが、食事。

料理長は多数の候補の中から選ばれた若き精鋭。

就任後、全国に赴き、安心で安全で、
おいしい食材を厳選し、
食器も一から全部揃えたとか。

料理長が提案するのは、
吟味した食材の旨さを主役にすえ、
無駄をそぎ落とした料理。

もうひとつ注目したいのは、
料理に合わせて日本酒やワインが一緒に供されること。


では、まずは夕食からご紹介。


食前酒はシャンパーニュ。

先付は3品。

「名残り数の子と水菜のおひたし 花かつを」

水菜のしゃきしゃきした食感を数の子が引き立てて、
食べてるうちに楽しくなってくる。


「胡麻豆腐 蕗味噌のせ」

伊香保名物「段々とうふ」の胡麻豆腐は、
香ばしくて柔らかくて、目を見張るほど。
蕗味噌は苦味もくっきりした絶品。
ただし、一緒にいただくと、
オレには、魅力が相殺されるような気がした。


「唐墨のおこわのあぶりを炭コンロで」

料理長が各部屋に訪れ、
炭コンロでちょうどいい加減に炙ってくれる。
味わいの点ではもちろん、
色々な話をうかがえることもできるから、
この方法はヒット。
また、カラスミが、粒を感じられるほど柔らかく、
香りも味も抜群。

先付には新潟「麒麟山」の純米大吟醸。

フルーティなのにきりりとした辛口で、非常にうまい!
酒器もかわいらしく品がある。


お椀

「下仁田葱のブルーテ 越前図合蟹 蛤のスープ仕立」

いったいどんな料理だろうかと思って、
椀のふたを取ると、意外なほどの地味さ。
全体を混ぜていただいたら、
葱や蟹の甘みと蛤のコクがない交ぜになっていて、
言葉を失い、頬が落ちた。
ちなみに「ブルーテ」はビロードのことで、
滑らかでとろみのあるスープを意味するらしい。

この椀には、
カリフォルニア産、F.F.コッポラの白ワイン。
サラサラとした中に力強さがあって、
互いに引き立てあっていた。


お造り

「大間一本釣り赤身鮪 石鯛
本山葵 香味サラダ 造り醤油 梅ポン酢」

大間の鮪は赤身でも全然違う。
石鯛は塩昆布を巻いただけでも美味かったが、
清流のような爽やかさの本山葵、
味わいに何層もの広がりがある醤油、
まろやかで爽やかな梅ポン酢と、
色々な味覚を楽しむことができたことに感動。

お造りには、
フランス・ブルゴーニュのルロワ女史の赤。
醤油に赤は合わないという先入観があったんだけど、
思いの外マッチしていた。


温物

「赤城牛と高原野菜のシャブシャブ
小鍋仕立 諸味風味の胡麻ダレを付けて」

地元の特産・赤城牛は脂身が軽くて、
想像以上の味わい!
程よい量に好感を持った。

温物には、
群馬の地酒「馥露しずく」大吟醸大杯

わりのクセの残る大吟醸が、
味わいの濃い料理にぴったり。
酒器がまたしゃれてるし。

お口直し

「柿膾と群馬産柚子シャーベットとの出会い」

「!?」と思ってたけど、
(混ぜてお召し上がりください)
との言葉に従うと、目が点に。
シャーベットは甘くないタイプで、
全体を冷やして香り付けする役目。
大根や人参がしゃきしゃきになり、
ひんやりとした口当たりに仕上がっていた。

揚げ物

「河豚の白子 椎茸 春菊 百合根の天麩羅」

好みを言うと、フグはもう少し揚げてほしかった。
椎茸、春菊、百合根は文句なし!
天だし、塩、大根おろし、スダチが用意され、
自分で味を加減できるのも楽しい。

揚げ物には、
愛知の「義侠緑」。
ソムリエが選ぶ日本酒コンクールで1等賞に輝いた、
ワイン好きが好きな日本酒だとか。


食事

「根室産雲丹と青海苔の雑炊」

海の香りが立ち込め、味わいも上々。
これにお漬物三種盛りがついてくる。


水菓子

「和プレミアムパフェ」
苺のシャーベット、抹茶粉入り白玉、
丹波産小豆の粒あんに生クリームをかけて。
これがまた、甘さひかえめで、ペロリ!
一緒に出された加賀献上棒茶は、
さすがの香ばしさで、お口スッキリ。


これで終わりかと思ったら、
最後に、仏ソーテルヌ地方のアイスワイン。


食事の進行とともに部屋のライティングまで変わり、
雰囲気までおいしいひとときだった。

食後の酒をすすめられ、グラッパを2杯。

美味なる食と雰囲気に圧倒されながら、
しとどに酔っ払った……。


続いて朝食


まず「おめざ」として、金柑と丹波黒豆のみつ煮。

朝摘み特級玄米茶とともにいただき、
寝ぼけ眼もシャキッとした。

続いて、伊香保グリーン牧場の牛乳。
たぶん、低音殺菌の牛乳は甘みがあって最高!


「バーニャカウダー」
高原白菜のピューレと生クリーム、
イベリコ豚サラミのディップに、
野菜をつけていただくというもの。
ジャガイモのおやきがオレ好みの味。


「お膳」

漬物も海苔も味噌汁も、まさに厳選モノ!!
さらに、土鍋で炊かれた、
完全無農薬の新潟産こしひかりが涙モノ!!
またまた、食いすぎちまった。


朝も水菓子つき!
地の牛乳と玉子でつくったクレムブリュレに感心。
最後は好みのドリンクがいただける。

朝食は12時のチェックアウトまでの間なら、
いつでもいただけるというのもうれしい。


こちらの宿泊料金は、
1泊2食・2名1室利用で、
ひとり当たり78,750円~157,500円。

高所得者層に向けて造られた宿は、
さすがにすべてが行き届いていて、
本当に、素晴しい内容だった。

でも、自腹では難しいな……。



「奥伊香保 旅邸 諧暢楼」
群馬県渋川市伊香保町伊香保香湯5-4
TEL0279-20-3040