有馬温泉での宿泊先は「陶泉 御所坊」


うかがうのはこれで3度目。



昔から関西圏で最も繁栄した有馬温泉も、
バブル後には斜陽化が進み、
阪神大震災によってさらなる打撃を受け、
一時はすっかり寂れてしまっていたとか。

それが最近、見事に生まれ変わって、
阪神間の手軽な観光地として大人気。

過去には大型旅館が軒を連ね、
団体客が大挙して訪れた有馬温泉も、
景気後退とともに個人客を重視するようになり、
それと同時に、温泉街として魅力ある街づくりを推進。


その結果、今の繁盛があるという。



旗振り役を務めてきたのは、
老舗旅館「陶泉 御所坊」のオーナー。

かの由布院があの様だから、
有馬温泉は今や

日本一の温泉街と言ってもいい。

御所坊が立派なのは、

有馬だけを盛り上げてるんじゃなくて、
日本各地の温泉街や宿のお手本として、

いろんなアドバイスを惜しまないこと。

最近元気な温泉街や宿に行ってみると、
有馬温泉や御所坊の影響を感じることが少なくない。

御所坊のスタッフにその話をしてみたら、
いくつかの温泉宿の主はよく訪れているとか。

実際、オレらが行った時も、
オーナーは視察の人たちの案内で大忙しでした。

でも、御所坊をそのまま真似ようったって、
そう簡単にいくものではない。

なんたってここには大いなる歴史遺産と、
研ぎ澄まされたセンスが満ちてるんだから。

しかし、ここを参考にして、
各地の温泉街や宿が向上心を持つのは有意義なこと。

皆様、頑張ってください!!


御所坊ファンなので、

つい前置きが長くなってしまった。



この日、加賀温泉から電車に揺られ、

新神戸からタクシーに乗って、
ようやく有馬温泉に着いたのが20時過ぎ。

当初、御所坊は満室だから、
系列の宿に泊まることになっていたのだけれど、
当日キャンセルが発生したそうで、
御所坊に泊まれることに!!

部屋に案内してもらうと、
すでに布団が敷かれ、テーブルにはおむすび。

多少腹減ってたのでおむすびを貪り食い、
あたたかい味わいにたちまち人心地ついた。



マッサージチェアがずいぶん前から用意されて足し、

部屋にあるものすべてが気が利いていて、

相変わらずクオリティが高いことに安堵。



その後、サンテレビで阪神の勝利を見届け、
有馬温泉名物の金泉の大浴場に行った。

金泉とは鉄分の含有率が高い塩泉で、
体が温まることこの上なく、
肌がスベスベになることもこの上ない。


金泉は男湯と女湯の仕切りが低く、
立ち上がると覗き込める。


ただし、照明が暗くなってるから、
男湯から女湯は見えないようになってる。


ってことは、女湯から男湯は見えるのか?


ま、いいけど。


で、体を洗って金泉に入ろうと思ったとき、
忘れ物に気がついた。


バスタオルとタオルを、
部屋から持ってきてなかった……。


高級旅館だから大浴場に用意されてるかな、
と思ったけど、なかった。


仕方ないから、汗がひくのを待って、
まだ濡れてるとこをペーパータオルで拭いて、
濡れた体に浴衣を羽織って出た。


もともと浴衣はこうして使ってたんだから、
間違いじゃない。


けど、恥ずかしかったな。



翌朝は久しぶりにゆっくり起床(8時)。

朝食はジュースに始まり、
梅干から湯豆腐から塩鮭からお茶まで、
うっとりするような味わい。




で、「陶泉 御所坊」ってこんなとこ。




どこをとっても絵になる!


トイレの男女の標識がデザイン化されてたり、



散歩用の籠が用意されてたりして、
すみずみまで、いちいち感心させられる。



焼き松茸は中国産だそうだが、
炭火で焼きたてをほおばった松茸は至福の一言。
モクズガニ(上海蟹の親戚)の炊き込みご飯は、
カニみそがにじみ出ていてつい無言になるほど。
ほかにも鱧シャブなんかがあったんだけど、
食べるのに熱中して写真失念。

京都の懐石とは一味違う、
温かみや素朴さがある御所坊の料理、

オレは大好き!


さて、この宿のセンスのよさの所以は、
館内で使用する文字やサイン類の一切まで、
ひとりのアーティストに任せてることにもある。

篆刻文字というこの書体の使用は、
こちらが先駆け。


おみやげ物のチョイスも宿に関連性のあるものばかりでいいし、

カフェのカップ&ソーサーまで、クラシカルでいい。


これだけ見事に充実しているのに、

宿泊料金は決して高すぎないのだから、

頭が下るばかり。



新規オープンの宿もいいけど、

宿の何たるかを哲学として持っている、

老舗宿の前では、やはり……。