昨年11月末にうかがった宿「石苔亭いしだ」 は、

長野県下伊那郡の昼神温泉にある注目宿。





錦の山に抱かれたそのたたずまいは、
旅の疲れを取るに十分なもの。

白シャツ+黒ベスト+黒袴といういでたちの
スタッフの出迎えも心憎い。


ロビーには立派な能舞台。
ここでは毎晩、太鼓や尺八、狂言など、
地元アーティストのパフォーマンスを開催。



パブリックスペースも部屋も、
いずれも空間を上手に、贅沢に使ってあり、
きれいな庭がよく見えるようになっている。



宿のそこここに生けられた野の草花は、
近隣にあったものだとか。
素朴な美しさに心ひかれた。


温泉がまた魅力的!
湯につかって肌に触れると、ぬるっとした感じで、
肌がきれいになっているような気がした。

では、お楽しみの夕食!



前菜で感心したのは、干し柿とバターのミルフィーユ風。
また、いがぐりに見立てた揚げ物が存外の味。
ゆず風味がきいたごま豆腐も新鮮な味わいだった。



一見、トムヤムクンみたいだけど、松茸の土瓶蒸し。
松茸の季節も終わり間近。
惜別の思いもあって、味と香りがことさらに感じられた。



お造りは「海」と「山」いずれかの3種盛りを選択。
山の3種は馬刺し、自然薯と川魚(名前失念)。
バラエティにとんだ味覚を楽しめた。


蒸し物3品。
奥の茶碗蒸しは地玉子を味わうために具無し。
このアイディア、かなり好き。


焼物は信州牛の陶板焼き。
ランク上のコースだと信州牛の塩釜焼き(上)になる。
藻塩に黒胡椒や香辛料を混ぜた塩釜で焼いた信州牛は、
もう、夢心地になるような感じで、圧倒的に塩釜焼きの勝ち。



鯉のうま煮はおかずらしい一品。
後でご飯と一緒に食べるために残しといた。


ほかにも料理が出てきた後で、
ご飯と味噌汁と漬物の登場!
湧水をくんできて土鍋で炊いたご飯は、
ちょっとやわらかめで、
口に入れるやいなや甘さが広がる。

デザートまでの献立は、地の味を生かしつつ、
洗練されたアイディアがてんこ盛り。

ただ、漬物は野沢菜漬けをドカンと出して欲しかったし、
デザートは焼き菓子でなく、果物の方がよかったかな。


その後、能舞台に席を移し、
満腹の腹をさすりながら、太鼓の演奏を聞くが、
眠さMAXだったので何度も気絶しそうになった。


地元の太鼓奏者の演奏はなかなかよかったのだが、

睡眠不足だったもんだから……。


演奏後、再度温泉でトロトロになった後、就寝。


翌朝は近くでやってる朝市に行くはずが、寝坊。


身支度を整えるのも面倒で、
起き抜けのまま朝食の席に行くと、


丸い小皿がズラリ!



左は31皿あるので「短歌膳」。 (これにもう一皿とご飯と味噌汁がつく)
右は17皿あるので「俳句膳」。 (これにご飯がつく)

量も味もいずれも程よく、

さらに、産みたての卵までついてくる!


凝ったプレゼンテーションに朝からはしゃいだ。


こちらの宿は歴史的にはまだ浅いものの、
改築を重ねながら今日に至ったとか。

運営は若主人と若女将がやっていて、
自らの宿の繁栄のみならず、
昼神温泉全体の活性化に心を砕いているところが見事。


非常に志が高く、また発想がユニークなこの若主人がいたら、
宿はもとより、昼神温泉の発展は間違いないと思った。