小林製薬のサプリが世間を騒がせた。健康被害を受けた人はなりたくてなったわけではない。むしろ健康になりたくてサプリを摂取していたのだ。にもかかわらず逆の結果を招いてしまったことは残念でならない。このように健康を望む人は多い。多くの人が健康を維持増進したくて、サプリを飲んだり運動に励んだりする。しかし、時としてこの運動が死を誘発することもある。
ジョギングの健康法を提唱した人がジョギング中に死んだ。ゆえに健康のための運動が健康になるとは限らない。よく、健康のために一駅ぶん歩こうとかエスカレーターを使わずに階段を上ろうという。だが、ジョギングで死んだ人のように、健康のための階段上りが死を招くことになりかねないのである。
どういうことか? 実はその人には元々小さな異常があったのである。そういう小さな異常は健康診断の心電図では見つからない。ここが重要なところだ。だから健康診断の数値に問題がなかったからと言って安心はできないのである。
自分を含め、多くの人が健康診断前になると運動を始めたり食事制限を行ったりする。怖い結果を目の当たりにしたくない現実逃避型の人はたいていこういうことをする。一時的な少しでも良い数値を欲しがって安心しようとする。異常を、あるいは病気を認めたくないという心理がそうさせるのである。だが、それが良くないのだ。
だから、一般的な杓子定規の健康診断など意味がないのと同じと言える。
では、本当の自分の状態を知るにはどうすればいいのか? 人間ドッグなどの大がかりなものではなく、普通の健康診断で小さな異常を発見するにはどうすればいいのか?
健康診断前の無駄な抵抗である運動や食事制限をやめて、通常の状態で受診するのがいいに越したことはない。
それ以上に小さな異常を見つけるには、受診前に階段の上り下りなどをして多少体を披露させてから検査をすると、心電図にはっきり異常が現れる。これを心臓負荷試験という。
これにより本当の状態が分かり、本人にとって階段上りが危険なのかどうかを知ることができる。それで異常がない人は本当に健康なのであり、階段の利用は有効だということになるので続けるといい。
そうしないと健康維持増進のための階段利用やジョギングや素人登山で死ぬ、通勤時の駆け込み乗車や保護者参加の運動会で死ぬ、そして快楽直後に腹上死する。
たいていの健康診断は、自分で気づかない小さな異常を抱えた人が安静状態のまま検査を受けるので、何かあっても気づかれずにスルーされてしまう。それが突然死につながるのだ。
まやかしの数値に自己満足して、死を招く健康運動をするのでは本末転倒である。
[編集後記]
恐れずに自分の正しい健康状態を知ろう。