歯科の話 ~その3・日本の歯科技工士が危ない~ |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

 ある若い患者が、舌にできた口内炎の治療で、知り合いの歯科医の先生のもとにやってきた。近所の歯科医院ではなかなか治らないので、わざわざ遠方にあり自由診療であるにもかかわらず、大学で講師もしている先生を訪ねてきたのである。

 先生は患者の症状を見て、これは口内炎ではないと分かった。口内炎は丸い形なのに、患者のはいびつな形になっていたからだ。つまり舌癌だったのである。

 患者は酒もタバコもやらないし、癌の家系でもない。では、原因は何なのか? 診てみると、癌のできた箇所は、歯に被せられた金属(銀歯)がちょうど当たる位置にあった。先生が言うには、安物の金属は水や唾液に触れると毒が出てくることがあり、患者の舌はその毒にやられたとのことだった。

 幸い患者は先生の早い発見により大事に至らなかったが、もし低レベルな歯科医にそのままかかっていたら大変なことになっていたのは明らかだ。舌がなくなっていたかもしれないし、もし転移していたら大ごとの手術になっていた。

 この「銀歯からの癌」は、歯科医の間では話題になっているが、それが世間で公になっていないのは、確かな学術的な証拠がまだないからだという。タバコを吸う人で、癌になる人とならない人がいるように個人差もあるからだ。

 

 では、金歯ならいいのかというと、そういう問題でもない。なぜなら純金はなかなかないからだ。金の配合率は様々で、30%の物でも80%の物でも“同じ金”と言い、所詮“合金”に過ぎないのである。

 2012年に、業界で金歯を作っている大手メーカーが「うちは安全だ」という業界向けの冊子を出したことがある。裏を返せば「うちは毒が出ない」…そういう言い方をしているのと同じだ。つまり、金属から毒が出る危険性を否定していないことになる。

 このような出来事を我々一般人には広く知らされていない。全く怖い話だ。

 

 ではなぜ、そんな怖い物が出回るようになったのか? それはアジアの某大国が関係している。日本の歯科技工士に製作を依頼するよりもその国に依頼した方がはるかに安くできるからだ。

 以前にも述べたが、保険診療の歯科医は経営が大変な状態にある。そのためどうしても安い物を発注せざるを得なくなってしまう。日本製は確かな物だがコストがかかる。某国製は安いのでコストの面でかなわない。

 安いからと言って他国で作る。そうすることで、日本製への受注が減ってくる。すると日本の歯科技工士はなり手がいなくなる。そうなるとますます某国製が増える。こんなことがずっと続いているのが現状だ。だから、その国だけが悪いのではなく、日本の置かれている現状が問題なのだ。

 このことを憂い、業界は2004年に某国製の輸入禁止の訴訟を起こしたが、2011年に敗訴している。日本の法律では禁止のしようがないというのだ。ふざけんな、馬鹿野郎! 何でもかんでも法律法律って、少しは融通をきかせろってんだ。このままでは日本人の危険性が増すばかりで、恐ろしい未来に向かうことになるぞ!

 だから、先述した大手メーカーは、翌年に「うちは安全だ」なんて冊子を出すことになったのだ。

 某国で作る物に粗悪品が多いのは、日本みたいに国家資格を持っていない未熟な技術者が、アルバイト感覚で作っているからだという。銀などは、百円ライターの部品を溶かして作っているところもあるそうだ。そりゃあ舌癌にもなろうってもんだ。

 

 

 今、日本の歯科技工士が危ない状態になっている。それはすなわち我々日本人を危機に陥れていることになる。早く日本の歯科技工士たちを救わなければ! 政治家はこういうことに目を向けるべきではないのか!

 

[編集後記]

 以前、近所の歯科医院に行き、被せ物を選ぶ時、金・銀・セラミックのメリット・デメリットを教えてくれたが、本文で述べたことは一切教えてくれなかった。その後の害なんて皆無だ。だから、患者としては、色の違いか金額で選ぶしかない。若い歯科医だったから実情を知らなかったのか、時間がないから教えなかったのかは不明だが…。