福渡の総結集「秋祭り」だ、ワッショイワッショイ!! 2019年10月28日発信
「終わった・・・」
福渡八幡神社、秋祭り。
御神幸が行く道々に立つ、お年寄り、その家族、昨年も会えた、そして今年も。懸命に一年を過ごし、迎えるお神輿。ここで暮した人たちが、共に抱く”祭り”への思い。
総勢122名、町内が空っぽになるほどの人たちが「行列」「神輿」「子ども神輿」「神楽」となって練り歩く。89歳の名人がバチを手に太鼓を打ち鳴らす。
壊れ行く地方、福渡も例外ではない。今やこの祭りだけが町のアイデンティティー。
子どもに聞いた「お祭りって楽しみ?」
「うん、すっごく楽しみー」
そして「だって、鐘、叩いたり、お獅子だってチョーカッコいいー」
大人(年配)に聞いた「お祭りが来るのはうれしいですか」
「いや、もうなあ、観るのはええんじゃけど、参加せえ言われるんが困るんじゃ」
やれやれ、今年も高齢化著しい課題に「秋祭り」の行方は・・・。
そうして始まった「大祭」当日。百数十の石段を登った上にある八幡神社の境内に集まった礼服姿の列席者、白張の輿守、はかまの神楽、青いハッピ姿の子ども神輿。
長~い神事を終えた参列者がホッとして境内へ。神様が輿に遷座され、獅子舞いを奉納して、いざ出陣。
町に下り、各所各所で練り、踊る。特別養護老人ホーム「旭水荘」手を合わせ、列をなし待ち受ける車イスの利用者さん。
暴れ獅子の到来に驚き泣き出したおばあちゃん、じっと演舞を見つめる顔の涙を指でぬぐうおばあさん・・・。 そんな光景を、だれもが気づいただろう。
「ワシらの祭りは、ワシらのためだけにあるんじゃない。この祭りを懸命に待ち望んだ人たちがいる・・・」
行列隊は進む。地域の支え「福渡病院」から53号線、商店街、建部支所、福渡駅・・・。
39人の輿守たちがその度ごとに立ち止まり「ワッショイ!ワッショイ」
猛者らの額は汗でベチョベチョ、顔も笑顔からしかめっ面。
祭りの始まりは無限に思えても、いつかはやって来る”祭りの終わり”
一行が上山の牧場に登る頃は陽が西に傾き、兵士たちに疲労の陰。
午後3時「友愛の丘ゼンセン」到着。館内を駆け回る大人神楽につづく子ども神楽、もう思い残すことはない。
興奮と脱力。
同じメンバーが、また集まることを祈りながら輿守たちの雄姿をカメラに収める。
(取材・三宅 優 写真・松下りえ)