台風一過、建部平野に祭りの太鼓が響く  2019年10月13日発信

建部祭り建部祭り 関東、東北を襲った台風はやはりレベル5の結果を見せつけた。 「今までにない」「初めて経験する」と言った言葉が報道で伝えられるが、これが年内にもまた、そして毎年のように常態化することは間違いない。
 中国地方は今回、うまく回避してくれたが、次は自分の番だと腹をくくるしかない。
   そんな過ぎ去った後の晴天の建部町、今日、恒例の「建部祭り」が開催された。
 午後1時、いつも通り八幡温泉郷駐車場に参集した建部郷8つの神社からなる神輿。その前では笛に太鼓、鐘に合わせて舞う神楽たち、棒遣いも叩き合う。
 100人、200人それ以上、ちびっ子から大人まで祭り衣装を身につけて、わがお宮の旗の前で、てんでに舞い、てんでに囃す。

建部祭り建部祭り やがて一同は列をなし、先月、随神門修復を終えたばかりの「七社八幡宮」へと向かう。
 すでに八幡宮では、この日を楽しみにしていた観客数百人が待ちかまえている。
 「タコ焼き」「フランクフルト」「りんご飴」「フライドチキン」昔なつかしい「お面」の屋台も健在だ。
 屋根が立派になった分、門が狭く感じる随神門、ここを腰を低く落として最初の神輿が通り抜ける。境内に敷かれた真砂土の埃が舞い上がる。二番、三番と神楽と神輿の列がつづく。

建部祭り建部祭り 宮入りをした神輿が境内をネリ始めた。右にウヮーっと、左にグワーっと一気に駆け登るかと思いきや、 威勢のいい先輩仲間から「まだ足りん、もう一回、ねれー!」と言われUターン。
 散々にくたびれた後、フラフラと無事、仮屋へと収まる。この間、観衆は「おお、おー、あぶない、あぶない!」とハラハラ。
 宮司全員による詔(みことのり)を終え、いよいよ神楽奉納。見事に息の合った獅子の舞いを動画で納めようと皆、スマホ。
 多自枯鴨神社の棒遣いの演舞が始まる。わずか数十軒の集落が守り続ける伝統芸、小学生の女の子もしっかりと受け継いでいる。 樫の棒が打ち鳴らす「カーン!」という音のみ、あとは荒い息遣いが聞こえるだけ。練習の賜物が観衆にも伝わる。

建部祭り 時間はいつの間にか午後三時、仮屋の前に再び集結した輿守たち、これから「宮開き」となる。
 合図が鳴り「ウウオオー!」という唸り声をあげいっせいに社頭へ駆け集まる神輿。ひしめき合う輿と輿、何とか整列し、  そして「ウァー!」と一気に「高々」へ。
 先ほどの荒さとはうって変わって静かに下りていく輿守たち、「 今年も終わりかぁー、また来年だなあ」その中の一人がつぶやくのが聞こえた 。  

 (取材・写真 三宅 優)