■今月の「たけべ人(びと)」
建部で活き活きと活動する人にスポット。
建部生まれ、建部育ちの歌姫。
英会話の講師にして、保育士。
持って生まれたソプラノの美声を
活かし、ミュージカルにオペラにと
八面六臂の活躍。
夢は人と人が集える「カフェ」を
つくること。
佐藤 麻衣子さんの登場です。
(取材・三宅優 )
(プロフィール)
佐藤 麻衣子(まいこ)
昭和55年、建部町吉田生まれ
建部中学校から山陽女子高校へ。
卒業後、私立音大に行くが断念、
帰郷しフリーターとして働く。
その後、ECC英会話の講師、保育士等
多彩な職業をこなしながら、歌の世界でも
活躍。吉田在住。
(聞き手・三宅 優) 歌はいつ頃から始められたんですか
「小学生の時からです。その頃の竹枝小学校は音楽の先生がすごく力を入れていて、合唱コンクールなんかによく出ていたんです。ソニー賞を受賞したこともあって、 外からの見学も多かったですね」
なるほど、それは大きいですね、正規に学ばれたのはいつから?
「中学からレッスンを受け始めました。中2の時に先生からコンクールに出なさいと言われて入賞して、独唱の始まりはそこからです」
それで、高校でも部活か何かでやられたんですか
「いえ、高校は山陽女子高校の音楽科に行ったので、毎日、声楽を勉強してました(笑)」
ああ、なるほど、もう音楽の道を決めてたわけですね
「ええ、でも卒業してからは、ずっと止めてたんです」
と言うと?
「高校を出て東京の私立音大に入ったんですが、すぐに音楽じゃあ、お金が稼げないと気づいたんです(笑)。よっぽどのレベルであれば違うだろうけど、 歌ばっかしじゃあダメだって」
へェー、それはまた現実的ですね(笑)
「(笑)はい、それで帰省して、カフェでフリーターで働きました。もともと、大学を辞めて何をしたいかと考えた時、カフェ経営をしたいと思ったんです。 その資金が必要でアルバイトを続けました」
ほうー、話の展開が早いですね(笑)
「そうなんです(笑)、で、そうしたらカフェでバイトして3~4年位して、カフェのオーナーが外国によく行ってたんですが、その影響で私も海外に行きたい夢が生まれました。それで、ロスのサンタモニカに1年ほど行ったんです」
えっ、いきなりアメリカへ?、そんなに簡単に行けるもんなんですか
「いえ、たまたま私の妹が現地に留学していたので、そこに一緒に住んで、私は語学学校に通ったんです。ただ、ビザは英会話を通じたコミュニティスペースを作りたいときちっとエッセーを書いて取得しました」
ああ、やっと今のお仕事につながって来ました(笑)
「帰って来てから、子どもは英会話を学べて、大人も何かを学べるようなコミュニティカフェを作るんで、まずECC英会話教室から始めました。もう12年目になります」
その間、歌との再会はどこでありましたか
「27歳位の時、英会話をやっていたので、福渡小学校で英会話を頼まれて行った先に竹小の時の音楽の先生がいらして。 先生のお友達が、文化センターで独唱リサイタルを開くというので聴きに行って、良くて・・・それからですね。 これまで、すっごくお金を(音楽の勉強に)掛けていたので、活かせるようにきちんとレッスンを受けようと思いました」
昨年はミュージカル「オランダおイネ」でお滝さんを、今年は4月にオペラ、それもモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」で主役のドラペッラ、それも原語ですよね
「はい、まあイタリア語は前から歌ってたので大丈夫でしたが、演技は大変でした。特にミュージカルは、高校まで蚕くらぶのメンバーでやってたのですが、 今度は本当のダンスの振りが付くので、踊れないので苦労しました」
いかがでしたか、舞台に立った感想は
「オペラは面白いですね、やっとスタート地点に来たという感じ」
この春「吉田れんげ祭り」でも尺八とセッションしてましたね。ああいう組み合わせもいいですね
「あれは同級生の藤井君が尺八をやってて、時々、二人で合わせたりしてて、ちょっとやってみようかってなったんです(笑)」
ところで、じゃあ、今はいくつお仕事を持たれているんですか
「ECC英会話教室が週2日、市内のインターナショナルスクールの保育士の仕事が週3日、それとソプラノで歌うことですね」
保育士もなさってるんですか
「子どもに英会話を教えてきたんですが、でもこれまで自分は子どもを育てることは勉強してないと思ったんです。それで4年前、34歳の時、短大に入って保育士の資格を取りました」
何から何まで、徹底してますね(笑)、フェイスブックを拝見したら料理もお好きですね(先日も採れたてイチゴでジャム作り)
「もともと健康オタクだったんです(笑)、それと母の手作りで育っているので。保育をやっていると、 子どもたちの中には卵が割れなかったり、レンジでチーン、栄養が足りてないなって、アレルギーの子も多い。 食育ってとっても大事だと思うんです」
コミュニティカフェの構想が何となく浮んで来ました
「食・音楽・語学、(と言うより”おしゃべり”かな)を通して、人が豊かに暮らせるための学びの場・・・。 アンガーマネージメント、ヨガ、お料理、同年代を対象に気楽にできる、子どもは英会話を学び、親は別のことを楽しむみたいな、 そんな場をつくりたいなあって」
建部に住む子育て世代の人らも、そういった学び語らえる場を求めているんでしょうね
「ええ、でも、きっかけがないのと、まだ世間体(新しいことを始める事への)を気にするところが多少あるのかもしれません、 街中のようには広がりにくいのかなと思います」
でも、実現すると楽しいでしょう、大いに期待しています。
「はい、ありがとうございます(笑)」
(記者感想)
きっかけは何だっただろう、今となっては思い出せないが2012年8月、記者夫婦が主催した「しあわせ灯ろう祭・inめだかの学校」(写真下は翌2013年懐かしのスナップ)のイベントで歌っていただいた。観客もまばらな中、10数曲を熱唱、「本当に歌の好きな子だな」と強く印象に残った。
あれから、いろんな場面(ほとんど歌う場)で出会ったのだが、プライベートに話す機会はなかった。もう8年になる、その間、彼女はいくつものチャレンジに挑み、出会った頃とは大きく脱皮していた。
決断が早い、過去にとらわれない、一人で実行する、夢は、人が豊かに暮らせるコミュニティスペースをつくること。 歌から始まり留学、英会話、保育士、再びソプラノ歌手、そしてすべてを活かしたカフェへ。
「以外と私は(結婚しても)主婦はできないかも」(笑)ご本人が仰るとおり、役割をこなすより自分を生きるタイプなのだろう。
「旅行はハワイや沖縄なんかの暑いところが好き」、まさに夏に象徴される行動的で情熱的な女性がそこにいた。
(取材・写真 三宅 優 写真提供・佐藤麻衣子)