■ 多自枯鴨神社の大杉、“地域を見つめて六百年” ありがとう 2018年11月2日発信

大杉大杉先月の末、多自枯鴨神社の大杉の前に見たこともないほどの巨大なクレーン車が背伸びしております。
 30メートルぐらいある大杉の高さまで、伐採する人を乗せてクレーンはグングンと高くなっていきます。
 この大杉は樹齢600年、胴回り7.4メートルの巨木です。今回、伐採することに至ったのは、以前に遭った落雷で木が枯れてきたためとか。
 600年前といいますと、金閣寺などがつくられた室町時代にあたり、ここに住んでいる人をずーっと見つめ続けてきたと言うわけです。
 この地区の氏神様の多自枯れ鴨神社は、建部町でも最も古いお宮の一つで、亀甲の家紋などから出雲大社系の流れをくんでいると言われております。
 古代この地あたりは出雲豪族と吉備豪族のはざまとなり、戦国の時代には尼子氏や毛利氏と宇喜多氏などが入り乱れて合戦が行われたところでもあります。
 この大杉は伐採された後、津山市で開催される全国銘木市に出品される予定だそうで、このような巨木はなかなか少なく神社仏閣などの改修のための木材に活用が期待されております。全国から集まる競り人の目を引くことでしょう。
大杉大杉 ふと見ると、神社の本殿の一角に写真が置かれていました。先月行われたばかりの「建部まつり」その祭りを担った人たちと大杉との記念撮影。
 どこまでも、地域の守り神として大事にされて来た大杉でしたが、この日、その使命を終えました。
 でも、ご安心ください。同じ境内には1600年代の関ヶ原の戦いの頃から一緒に見つめてきた樹齢400年の次男坊あります。 差し詰め、長男が田地子六郎大杉なら、次男の田地子四郎大杉という新しい御神木が誕生した日でもあります。
 長い栄枯の歴史を歩んできた多自枯鴨神社の大杉、新しい年の初めには、守り育ててきた田地子地区の人々と、ぜひ生きるパワーをいただいてみて下さい。 

 (取材・写真 勝部 公平)