香水 1日目
「あの、香水・・・・・・」
見知らぬサラリーマン風の男であった。
「え?」
「香水のことで・・・・・・」
香水ってまさかあれのことを言ってるのか? いや、あれのことは誰にもばれてないはずだ。
「結構です。自分香水使いませんから」
おそらくセールスマンであろうと思い、相手が詳しい話を切り出す前に断りの言葉を入れ、立ち去ることにした。
しかし、こんな道端で香水の販売をしているだろうか? いや、するはずがない。では、何か? そんな疑問を振り払い立ち去った。
「お兄ちゃん、学校帰り?」
「あっ、美智子。お前も学校帰りか? 道草するなよ」
「しないよ。お兄ちゃんこそ道草して、お母さんに怒られちゃいけないよ」
「分かってるよ」
先ほどのことで、少し嫌な気分になっていたが、妹と話をすることで気持ちが紛れていくのを感じた。
先ほどのようなことを経験したあとでは、こういう普通の会話というもののありがたみが良く分かる。
まあ、ずっと続けるとまた非日常を追い求めてしまうんだろうけど。
いや、非日常だなんて大げさなことを何で考えてるんだ? ただ変な人間が自分に話かけてきただけ。何も気にすることはない。
「じゃあな」
「じゃあね」
さっ、気を取り直して、早く家に帰るとしよう。日常的な会話や生活が待ってる。足早に帰っていく途中、
「あ、そうそうお兄ちゃん? 香水は?」
という声がしたような気がしたが聞こえないふりをして、そのまま帰っていった。
小走りというより、もう走っているのに等しいスピードで家の玄関まで到着した。
ドアを開け、ドアを乱暴に閉め、靴を脱ぎ散らかし、ひどい音をたてて階段をあがり、また乱暴にドアをあけ、閉めた。
その行為の途中
「香水は?」
といった言葉が聞こえたのを無視して。何がどうなってんだ。気づくはずがないんだ。この香水のことを。
引き出しの奥にしまっていた香水取り出し、持ったまま布団にもぐった。
この香水どうすればいいんだ。捨てることはできない。かといって、このまま持っていたら・・・・・・
息が荒い。これは走ったからだというばかりではないようだった。日常が欲しい、日常が欲しい。
香水を握り締めたまま、布団の中で長時間震えていた。本当に長時間たったかは知らないが、自分が長い時間震えていた
と感じたことは事実だった。いやだ、いやだ、聞きたくない、聞きたくない。耳をふさいでノックの音が聞こえないようにしたが、無慈悲にも扉はあけられた。
「おい、香水貸してくれないか?」
「しらねぇよ。何のこといってんだよ、父さんは」
「何怒ってるんだよ? 陽水のCDだよ。昨日貸し手くれるっていっただろ?」
「え? あっ陽水ね・・・・・・。好きにもってっていいよ。」
「ん、ありがとな」
ずっと俺が香水と陽水を聞き間違えていただけね。何もばれてなかったんだ。これからまた日常に戻れるんだな。
恐怖心、猜疑心がはれていくのを感じた。いや、無理矢理はれさせた。このようなことでは、納得させきれない部分もあるが、
日常のためだ、しょうがない。安心したためか、眠気が襲ってきた。寝よう。ちょっと今日は疲れた。離れ行く意識の中で、
「香水」
と父が言ったのを聞いた気がした。
あとがき
オチ無茶苦茶w まあ、小説的な文章になれるためのものだから内容は気にせずいこうと思います。
ちょっと稚拙な表現が目立ったかな。