そろそろ造りも終わり。

東京では○○県酒造組合主催などの大規模な試飲会も増えて参ります。


僕も仕事で伺うこともあれば、先日の栃木酒のようにプライベートで酔っ払いに行くこともあり(楽しかったなー♪笑)、様々なスタンスで楽しませていただいております。


その中で、前々からちょっと気になることがあったので今回はそれを軽く。


そのような試飲会・利き酒会などに行くと、原則的には蔵元がブースに立っています。蔵の方針にもよりますが、だいたい二人くらいで立つことが多いようです。しかし遠方からの出張ということもあり、どうしても人手不足で一人で立たざるを得ないこともよくある話。そんな時に酒販店の方や、場合によっては蔵元と仲の良い一般の方に手伝っていただくというのも、実はよくある風景なのです。


「一般の(素人の)立場で大好きな蔵のブースに立つ」


これは(全員がそうかどうかは知りませんが)日本酒好きとしては実に誇らしく一度はやってみたいことだったりもする訳で(少なくとも僕はそうでした)、業界人の仲間入りができた気がしてワクワクするのです(しつこいようですが僕はそうでしたw)。


ただ、言いたい。



立つならきちんと勉強してくれ。



何を聞いても「えーっと、あ、蔵元に聞いてみます」では話になりませんし、お酒を待つ後の人もイライラするばかり。それが悪くて結局何にも聞けず、特に仕事で伺っている時はまったく話になりません。それだったら自動で酒を注いでくれる機械の方がナンボかマシってもんで(苦笑)。


まず、ブースに立つ心構えとして、以下のことをきちんと理解してください。


1.出品している全てのお酒を(蔵元に許可を取って)テイスティング。自身の感じ方と蔵元の感想をきちんと擦り合わせ、共通見解が話せるようにする

2.自分はあくまで「手伝いの部外者」ということを肝に銘じ、自分の器量を超えたプロへの対応などは全て蔵元に繋げるのが仕事と捉える

3.蔵元がお客さまとの会話でお酒が注げない状況などをきちんとフォローし、ひたすら注ぎ手に回るなどの臨機応変な対応を心掛ける


*ただし蔵元から「君は着物着てお飾りでいいから」などと直接的な指示があった場合は除きます


少なくともこの3点はきちんと理解し、努力してブースに立つべきと僕は考えます。ブースに立った以上は自分が蔵元と同等の立場と見られることをもっと自覚して、万が一自分の対応に未熟なことがあればその蔵元とお酒に泥を塗る結果になるんだよ、ということを考えていただけると有り難いです。


・・・・・と、ここまで書きましたが、



実は一番いけないのは蔵元なのです。



先にも書きましたが蔵元から頼まれれば嬉しくて舞い上がっちゃうのが一般の飲み手。先ほどの3項目をきちんと教育・指示をされなければできるはずなんてないのです。


蔵元はこのことを安易に考えず、何よりもお酒を楽しみに来てくださる飲み手の方に気持ち良く帰っていただくためにもブースに立つ人間(これは一般人だけでなく自社の営業等の人間も含め)にはきちんと教育・指示をして臨んで欲しいものだと思います。



僕もアマチュアの頃には造りの手伝いに通っていた蔵が東京の試飲会に出る時は必ずと言っていいほどお手伝いをさせていただきました。教育・指示はされませんでしたが、自分なりに考えて懸命に「伝えよう」と努力していました。が、今から思えば至らぬ点だらけでご迷惑も多々お掛けしたのだろうと思います。その経験を踏まえて、今回の文章と致しました。何か少しでも、伝われば幸いです。