日本酒が低迷していると言われてから久しい。


原因の多くは、効率と利潤だけを追い求めたメーカーが

「日本酒は日本文化のひとつである」というプライドを放り投げて

クソマズい日本酒を造り続けた時代があまりにも長かったことにある。


だから現代の五十代以上の世代に日本酒を嫌う人が多い。

親が嫌いなのだからその子供である今の二十代が飲まないのも当たり前である。

モノゴトの結果には必ず原因があるのである。


ああ、美しきニッポンも、もう終わり。世も末だ。



・・・・・と嘆いていても仕方がないので。



前向きに考えればいいこともありました。


ニセモノが主流になったことでかえってホンモノとは何かがはっきりしたし。

あ、日本酒が順風満帆だったら僕も地酒屋なんかにはなってなかったと思う。

そう考えると僕がいまこうして幸せに頑張っていられるのは大手さんのおかげか。←前向きすぎw



本題に入ります。



最近あちこちで話題になること、それが



若い飲み手を育てよう。



というテーマだったりします。


今の二十代は日本酒はおろか酒じたいを飲まないらしいから

そういう若い衆(っておっさんくさいねw)に日本酒をどんどん教えようって。

日本酒の美味しさはもちろん、繋いでくれる縁や楽しむ姿を見てもらえれば

若い子たちもみんな興味を持って飲んでくれるんじゃないかなぁ、って。


(楽しすぎて泥酔して電車乗り越してラーメン食べて記憶なくして

 二日酔いしているシーンだけは断固カットせねばならぬなwww)


いま僕ら提供する側はもちろん、

日本酒を愛する飲み手さんの間でも意識は広まっていて

それ自体はどんどん追い風に乗って欲しいと考えています。


試飲会に二十代、もしくは日本酒初心者割引を付けたり、

小中学校の社会科見学に日本酒蔵見学を組み込んだり、

もっともっとできることは、きっとたくさんあるはずなんです。


みんなでアイディアを出し合えば、日本酒がもっと身近になるはずなんだよね。



そこで、もうひとつご提案。



僕らの子供の世代(未成年)を将来の飲み手に育てよう。


 *未成年に酒を飲ませるということではありません



これは僕個人の気持ちなのですが、僕らがいくら頑張っても、

僕の生きてるうちに日本酒が完全復権することはないだろうと考えています。

これは決して悲観しているわけではなく、要するに本気でやるなら

長期的ビジョンで取り組まなくてはならない、そんな気持ちなんです。


数年前は「よし、オレが日本酒業界を変えてやる!誰もが日本酒を愛する日本にしてやる!」と思っていました。

今もその気持ちには変わりはないけれど、知れば知るほど傷はあまりに深い。

破壊された文化を一瞬のブームではなくきちんと修復するにはやはり時間がかかります。


僕はいま43歳ですが、まだ子供はいません。

いま増えている、日本酒を愛してくれる飲み手は(東京では)30代から40代が中心です。

そして、その子供たちは世代的に未成年が多い。


僕らが日本酒を大切な文化として愛する気持ち。

いやいや、そんな大袈裟でなくてもいいから日本酒を囲んで笑いあう姿。

それをどうか、お子さんたちに今のうちからしっかり見せてあげて欲しいのです。


その子供たちが成年して、その何%かが僕らの意志を継いで地酒屋になり、

きっと今より少しは復権しているであろう日本酒という文化を彼らなりに守りながら、

僕らの「想い」をもっと先に伝えようと目を輝かせながら一生懸命に頑張っている姿。


そんな姿を見て死ねたらいいな、と本気で考えています。


蔵はどんどん減っていきます。

子供の数もどんどん減っていきます。

目の前の現象だけを見ていると、未来はないようにも見えます。


ダメっぽいからと諦めても、ダメもとだからと頑張っても、同じように時は過ぎていきます。

そう、違いはちょっとした意識の差。ただそれだけ。

その意識の違いで、風は確実に後ろから吹いてきます。



こだまがいたから日本酒は文化になった。



200年後にそう言われるように頑張ろうっと(笑)