会津娘を辞して、いや正確に言うと会津娘の亘さんに送ってもらって(笑)
次に、同じ市内は七日町の鶴乃江酒造株式会社を訪ねた。
この「七日町」だが「なぬかまち」と読む。「の」ではなく「ぬ」である。
亘さんにこのことを問うと、初め「???」と、きょとんとしていたが、
「ああ~そう言われればそうですねぇ~」(笑)
彼曰く、よく分からないが方言がそのまま定着したのでは、と。
例えば、初七日は「しょなぬか」と彼は言うんですと。
では、七日後は?「なのかご・・・?なぬかご・・・?あれ?どっちだ?」
・・・・・・・まぁ、そんな感じなんだそうだ(笑)
ともあれ、その「なぬかまち」の鶴乃江酒造さんにお邪魔する。
平成17年度新酒鑑評会で見事、金賞
を受賞して活気ある蔵元。
こちらも事前に連絡しておいたので、スムースな対応。
お酒の師匠、Yネサンに感謝(Yネサン、ホントですよ!)。
社長の林平八郎さん(この蔵は寛政6(1794)年から代々平八郎を襲名)に
ご挨拶させていただき、社員の佐藤史規さんに案内をしていただきました。
写真を撮るのをすっかり忘れてしまった・・・・・申し訳ない。
洗米機はあるものの、吟醸クラス以上は今も手洗いが基本。
和釜が2基に甑が1つ。燃料は重油を使っている。
エアシューター設備はなく、蒸米運びは全て桶を使っている。
放冷機もあるが、今も自然冷却を重視している。
昭和40年ごろに作られた麹室は2階にある。
最盛期は1000石以上造っていた(桶買い含む)ので、
大タンクが余り、小~中タンクが欲しいという現状(現約600万石)。
絞りは金属製フネが1台と吟醸用小型フネが1台。全てこれで賄う。
造りの最盛期で蔵人は約10人。手作業が多く、この人数でギリギリ。
米はやはり五百万石がメイン。他、一部で山田錦、八反錦、マイヒメ。
福島県推奨の夢の香は、蔵の体質にどうも合わないので止めている。
酵母は9号がメイン、お酒により7号を使う。
2年前にそれまでの横山啓一杜氏(会津)が身体を壊して引退された。
現杜氏は会津の坂井杜氏。この時期ではお会いできるはずもない。
濾過について聞いてみた。
炭濾過はやらず、SF濾過器3台を使っている。
大腸菌までも取り除き、酒質も変化させない優秀な濾過器だという。
無濾過には消極的で、火落ちを極度に嫌う傾向がある。
無濾過は唯一、初しぼりのみ(是非飲んでみたい)。
蔵内は構造上、風の通りが非常に良く造りの時期(冬)は寒さ対策に悩む。
会津娘と違い、現状ではサーマルタンクは不要。
同じ会津でも随分と違うものだな、と正直思った。
貯蔵に関してはほとんどがビン貯蔵。
ちなみに最古の6年古酒はタンク貯蔵でした。
金賞受賞の純米大吟醸は売り切れで、大吟醸を飲んでみた。
(参考までに受賞酒は山田錦40%+金沢&9号酵母だそう)
穏やかで、正直言って地味な酒質。
但し、静かに静かに味わうと、非常に繊細なキラメキを持った旨味。
味ノリはイマイチなのだが、素性の良さを確認できるお酒。
蔵元の娘さんの名前を冠した「ゆり」も飲んでみた。
全体的に香りが豊かで、万人に飲みやすい旨さを持つお酒。
僕が気に入って購入したのは、純米原酒。
どっしりしたコクの中に、繊細なキラメく酸味が散りばめてあるお酒。
バランスもよく、地味ながら実力を持ったお酒と思いました。
手造りのよさをしっかり継承している蔵元さん。
近所のおばさんが「あれちょうだーい」とか言いながら来店する蔵元さん。
地元を大切にしつつ、鑑評会レベルの技術研鑽も怠らない蔵元さん。
正直、初めて飲んだけれど、これからも活躍に期待します。