1982年に渋谷にできたライヴハウスで1年ほどアルバイトしていた。
かなり大きめのハコで、サロンゴミュージックというプロダクションがマネージメントしていて、
チャカ・カーンやBTエキスプレス、ウィルソン・ピケットなどの外タレやネイティヴ・サン、鳴瀬喜博、桑名正博、FM東京の公録では桑田佳祐もやってくるなどして、
最大で600人近くが入ったようなところ。

外タレとしては特にR&B系のブッキングが得意でそこに彼、ベン・E・キングがやってきた。
週末3日間の公演はいずれも満員御礼だったと記憶している。
重要なのはこの時まだスティーヴン・キングは「恐怖の四季」は上梓していなかったし、
それを元にした映画「スタンドバイミー」の公開は1986年。

名曲「stand by me」は世間ではまだリバイバルヒットしていなかったのだ。
それをナマで間近で、楽屋のケアなどもしながら、ホールで働きながら、カクテルをサーヴしながら、
聴いたことを昨日のように思い出す。

そのほか「spanish harlem」、ドリフターズ時代の「save the last dance for me」など、
ソウルのanthemのような名曲を役得ながら堪能した。

客席を埋めたやや年齢高めのお客さん達も、実に満足そうにしていた。
ライヴハウスだからステージとの距離感が近い。
それほど大男でもない彼が客席に語りかけるように歌う姿が印象的だった。

その彼の訃報を昨日聞いた。
もっと高齢かと思ったら、まだ70代だったのに驚いた。
してみると当時はまだ40を越したばかりだったということになる。

さようなら、やすらかに。R.I.P。