3月23日開花し、28日には満開宣言が出された東京の桜。
その後花冷えと雨を経て、4月3日の今日、お約束の強風に見舞われ花吹雪の巷が現出した。
本当の満開というのはこの散り際をいうのではないだろうかと、個人的には思う。
千鳥ヶ淵や、井之頭公園、石神井、善福寺、それぞれの水端では
散り敷かれた花びらが水面を彩ってまさに今年の桜もクライマックスといったところか。
明日土曜日、そして日曜と花見も最後の盛り上がりを見せるに違いない。
天気が思わしくなさそうだが明日の満月は皆既月蝕が起こるそうで、
ト・コキノ・フェンガーリ~赤い月が散りゆく桜と競演するそうだ。

花吹雪といえばザ・イエローモンキーの名曲だが、花吹雪が印象的なPVなら、
ユーミンの「春よ来い」ということになるだろうか。
降りしきる桜の風情はそれだけで運命的でドラマチックだ。

もうひとつ思い出すのは映画「砂の器」のラスト近く。
全国を遍路して歩く親子の回想シーンのひとつとして現れる。
ところがこれは実は杏子の花であるらしい。
染井吉野と比べると花の盛りは一瞬で、一気に一斉に散るという。
丹念なロケハンの末、その一期一会をとらえて撮影したのだとか。
本編の中では10秒に足りない尺であったが。

吉井和哉の歌詞の中ではやはり狂気を孕んだものと謳われている。
梶井基次郎は屍体が埋まっている、それは信じていいことだ、と書き、
坂口安吾はその下を歩けば気が狂うと書いている。

どちらも正しい、と、思う。