NYでの初めての経験、それは自由の女神ではなく、
エンパイアステートビルでもなく、ブロードウエイでもなく、
ヒッピー達との邂逅とドラッグ経験と、反戦という意思表示の存在だった。クロードにとっては。

それでも彼は入隊の意思を変えない。
仲間と別れ徴兵検査へと赴く。

ある意味決定的な一歩なのだが、それをコミカルに描くことで、
ゆるやかに皮肉っているのが、この2曲。
全裸のBlack Boysを検査するのは白人兵、同じくWhite Boysに熱い視線を送るのは黒人兵。
つまりゲイというマイノリティである性的志向をも暗にここでは肯定しているのだ。
歌詞はあくまで女性目線で、白人女性が黒人男性を黒人女性が白人男性を恋するという体裁を描いているが、
映画ではあからさまにホモセクシュアルをイメージさせる描き方をしている。
舞台版でももちろんそのへんは意識されたろうが、68年の初演時がどうだったか
残念ながらわからないが、当時としてはかなりインパクトが大きかったろう。
いずれにしても人種差別と同時にジェンダー、性的志向による差別に対するアンチテーゼを
プラターズやシュープリームスを思わせる軽やかなハーモニーで奏でる、
秀逸なナンバーである。
合格した新兵は文字通り一兵卒として戦場に送られるのではあるのだが。