さて、60年代は戦争だけではなく、
大気汚染、公害というものも、都市と経済の急激な発展にともなう大問題だった。
それは合衆国、ことにNYなどでは今の北京程ではないにせよ、健康被害を齎していただろう。
日本においては事はもっと深刻で、これは北京と似たり寄ったりだろう。
夏、晴れれば必ず光化学スモッグが発生していたモノだ、70年代初頭の東京は。

Lave&Peace、そしてHappiness、Flowers、そして自由を希求したヒッピーたちは、
この事実に対しても異議を申し立てた。
それがこの歌、Air。

大気汚染とともに自ら摂取するニコチンやアルコールも折り込んで、
逃れられぬアトモスフェア、とりまく状況になぞらえて、
それを深く深く吸い込むしか無い現実を嘆いている歌である。

HAIRの全曲の中でもっとも可愛いキャンディポップとも言えるナンバー。
幼気な少女を思わせる声で
Eating at the stone of my tomb
などとショッキングな事を訴えている。

それでも「生きる」ためには呼吸は止められない。
深く、深く、息をしなければならない。
けほ、けほ、けほ。

そういう、実は怖~い歌なのだった。