ボンバーヘッドの黒人ハッド(本当はラフィエット)が自らの出自を卑下しつつ、
逆説的に人種差別や格差社会を糾弾するナンバー。

全編黒人に対する蔑称が歌詞となりリズムに乗せてまくしたてられる。
そしてシニカルな揶揄を込めて、
president of the United States of Loveと結ばれる。
愛の合衆国の大統領というわけだ。
黒人にでもなれるものとすれば、そういうもの、という事だろう。

しかし、発表から40年後の2008年、バラク・オバマが合衆国大統領になろうとは、
作者のジェームス・ラドとジェローム・ラグニも思わなかったことだろう。

さて歌はなおもゾンビだのブギーマンだのこれでもかのボキャブラリーを駆使して黒人を蔑む単語が居並ぶ。
でもそれはみんなあんたがたが言ったんだぜ、
So you say!が最後の一言。

この曲も原語で鑑賞しなければ、真意は読み取れない。
リズムも韻もコノテーションもそのままに他の言語に置き換えるのは不可能だろう。

だからこそ、今回のオリジナル上演はまさに待望久しかったもの。
くどくも言うがそのためにこそこれほど入れ込んでいるわけだ。

さて次回は「Manchester England」である。