「MISSING」 / 本多 孝好著
連作ではない短編は滅多に
読まなかったが、これはいけた。
5つの珠玉の短編集。
一作品一作品、何某かを
考えさせられる。
考え方、生き方に共感。
決してハッピーな話ではないが、
感情移入できる寓話集です。
蝉の祈りが個人的にベスト。
ラストの彼の居場所も
ちょっとコワい感じでよい。
古本で100円、得した気分です。
MOMENT, WILL と続けて読んでみたくなった。
「MISSING」 / 本多 孝好著
連作ではない短編は滅多に
読まなかったが、これはいけた。
5つの珠玉の短編集。
一作品一作品、何某かを
考えさせられる。
考え方、生き方に共感。
決してハッピーな話ではないが、
感情移入できる寓話集です。
蝉の祈りが個人的にベスト。
ラストの彼の居場所も
ちょっとコワい感じでよい。
古本で100円、得した気分です。
MOMENT, WILL と続けて読んでみたくなった。
「新参者」 / 東野 圭吾 著
まさに、読み手をエンターテインするリーダビリティとプロット。
彼の「名前」と過去の栄誉は伊達ではない。
斬新な切り口で始まった第一章から読む手が止まらなかった。
まさに時間を忘れての読了だった。
加賀恭一郎は、東野作品では数多く登場している、らしい。
どっかで聞いたなぁと遠い記憶をたどると、20年も前に「卒業」が刊行された時に
見た名前だった。別作品には触れていないが、初めて彼を知る読者でも
魅入られることは間違いないでしょう。 感情移入できる、という点でもポイントは高いです。
舞台は東京の日本橋。登場人物は江戸っ子、そしてその人情と加賀との絡みが
人間関係を巧みに描く上でオイシイ味付けになっているところがたまらない。
連続短編形式は好みな上、それぞれの章のオトし方が絶妙な上、最終章の加賀のクールさ
とでしゃばらないスタンスも好感がもてて爽やかな読後感。
事件そのものが、一見普通なのをここまで作品として高められたのは、やはり東野氏ならでは
なのでしょう。スゴイ! おすすめ。
「神様のカルテ」 / 夏川 草介著
まず文体が好きです。
夏目漱石フリークの主人公のくせのある語り口が好きになれば、
普段読書しない人でもサラっと読める軽快さがあります。
読後感も爽やか。おどろおどろしいミステリーの合間に読むといいでしょう。
地域医療の医者不足や、ホスピス云々がちょいちょい語られますが、
深く追求せずに人間ドラマを組み立ててあって好感がもてます。
主人公の名前の由来、仏師が仁王を彫る話の下り、地酒の飛露喜・・・
是非ドラマにでもと、ミーハーな気持ちになってしまうくらい、「いいお話」です。
十分、泣けるお話でおススメです。
追 ) 本屋で「草枕」の書き出しを立ち読みして、新たに漱石の世界の深さを垣間見ました。
日経で紹介されていたので、「幻冬舎」出版という部分にも引かれ、
新品を買って読みでみました。良かったです。
欲・怒り・迷いから生まれるストレスをどう、扱うか、見張るのか。きちんと見張ることができれば、
そのストレスから開放され、よりよい生き方を得るために是非おススメしたい一冊です。
「なんだ、自分が怒っているのは、『かけがえのない私をちゃんと認めて配慮してよ』 という
子供みたいな感情のせいだったんだ、ばかばかしい」 という気持ちになるでしょう・・・
このセンテンスだけでも買ってよかったと思えます。
分わかってもらいたがるから、分かり合えない・・・、
・・・相手を染め上げようとする占領欲求、誰かこの孤独な私を理解して受け止めてくれ、という淋しさ。
なるほど! 目からウロコな一節も満載です。
東大卒のお坊さん、言うことが違う。
「もう、怒らない」 / 小池 龍之介
僕にとっては、抜群なリーダビリティでした。
デビュー作、「天使のナイフ」からずっと読み続けてますが、やはり彼の作品は " 読める " 。
一貫して犯罪被害者心理を描いていくものですが、今回も哀しい程の材料が次から次へと
展開され、「悪党」への復讐は成されるのか、はたまた赦すのか、そしてどういう結末に落ち着かせるのか
という興味が尽きずに読了させてくれます。
家族を殺された主人公が探偵という、ありがちなパターンではありますが、やっぱり彼の作風が好きなのか、
哀しいながらも小説として楽しめる内容でした。
笑えるようにならなきゃならない、絶対に不幸になってはならない、という父親の台詞と、
悪党は奪ったものと失ったものとを死ぬ間際に天秤にでもかけてみる、という前科者との台詞が
利いていて、より内容を濃くしてくれた。
このままどう終わるかで、この物語自体の評価が変わるだろうなと思っていたが、納得できて良い
ラストだったので☆4つはつけたい。
「悪党」 / 薬丸 岳 著
ようやく読了しました、以前から読みたいと思っていた角田さんの話題作、「八日目の蝉」
不倫相手の幼児を誘拐する女の逃避行を描く1章と、その娘のその後の人生を描く2章。
正直、1章は感情移入できずに斜め読みしてましたが、2章から俄然食いつきました。
もともと好きな作家だし、角田さんのある瞬間に"気づく" 感情の著し方がうまいなぁと思っていましたが、
その筆力は健在です。だからいいです。
全体を通した物語の色としては暗いし、悲しいし、でもそこから救われていく方向で「結」していく
のが賞賛される所以でしょう。
タイトルと重ね合わせて、これからの人生に光を見出していくのも共感できます。
すごいな。こんな人生を背負ったら。 もちろん、希和子より「薫」の方です。
エンディングをあえて、希和子の "八日目" を持ってきたのも good でした。
斜め読みした1章から、またいつか読み返してみたいです。
「八日目の蝉」 / 角田 光代
***角田さん、ご再婚おめでとうございます***
今年最もタメになった一冊。
空腹が導き出す効能と、体温を上げることの大切さを目からウロコの解説で
教えてくれた本です。
これをきっかけに自分は朝食を変えました。
今までずっと「朝食はしっかりとらないと駄目」神話に踊らされてきたけど、
まずは朝食を変えてみることに。
病気は血の汚れからくることや、体温が下がることの弊害、西洋・東洋医学との違いなど、
目からウロコのパラグラフが多く、納得の一言。
代謝の悪い自分にはいい教訓です。
未病や病気の人には是非読んで欲しい本です。
「体温が上がれば病気にならない」が売れるのもうなずける。
とりあえず、にんじん好きでよかった。
「空腹力」 / 石原 結實著
ダークな世界観だが、一読の価値ありの秀作。
中学生が受けるえげつないいじめを克明に綴る日記・・・から展開していき、
中盤からラストまでの二転三転のスピード感。
どんでん返しと、ちょっとした因果応報? で締めくくられるところがなかなかいいと思います。
長編でもしっかり読ませてくれる内容ですが、暗いので賛否はわかれるところでしょうね。
日経の書評通り、☆☆☆☆。
「絶望ノート」 / 歌野 晶午
神様、お願いします・・・ってなんでも叶ってたら、世の中怖いものなしだわな。
他人事ではないな、という意味では、久坂部羊氏の「廃用身」の読後感に似ている。
たまに譲ってくれる私の書の師からの一冊。
読むのに覚悟が要った。
老人が老人を介護することはもはやずっと先のことではない。
米寿を迎える母の「お芝居が上手」とひとりごちる意味を知ったとき、老い衰えた老親の
家族、特に血を分けた息子やその嫁への壮絶な気遣いに、悲しくも壮絶な決意を感じ、
同時に長年連れ添った旦那とは「結婚していない」とまで言い切り、道連れをも画策した
我慢強さと「覚悟」に感服と、男には真似のできない、女の強さなのだろうか、それを感じずにはいられない。
妻への気遣いの足りなさに思いはせることができているだけ、えらいな、この旦那はと思いつつ、
自分はここまで、翻って他人を慮ることができるのかな、と立ち止まって考えることができた分、
いい本を読んだという気分を持つことができた読後感です。
「黄落」 / 佐江 衆一 著
話題の芥川賞受賞作。
芥川賞って個人的にあまり好みの作品がない。
これも実はその一つ。140頁そこそこなので、半日もあれば読めてしまうが、
その分思い入れが薄い。 純文学を読むと感じる、「なにがいいたいのか、誰に伝えたいのか」
という部分が混乱してくる。 要はこういうものなのだろう、という心積もりで読むべきなのかもしれない。
11年間話をしないで夫婦って・・・。
感情移入できない主人公、元気やパワーが伝わってこない読後感、リーダビリティは二の次なジャンル。
どうも好きになれないなぁ。 芥川賞らしいといえばそうなのかな。。。
磯崎憲一郎 著