先日シーフードプラッター(フランス語でplateau de fruits de mer)にゲヴュルツトラミネールを合わせる、ということをブログで書いたら、若干の反応があったので補足したい。その中の一つは非常に否定的なものだった。ただし、この否定的な反応の主はフランス在住ではあるものの、ワインは(もう)飲まないお人なのであまり真剣にとるべきではないのかも知れない。

 魚介類に柑橘類の絞り汁をかけて食べるというのは、レモン、ライム、ポン酢など例にいとまがない。だからここで欲しいのはアロマと果実味ということで、アロマ系のワインとしてゲヴュルツトラミネールを考えることができる。なお、このお方はゲヴュルツトラミネールはほとんど甘口だなどとおっしゃっていたが、これも間違いでたいていのゲヴュルツトラミネールは辛口です。トロピカルフルーツのアロマが強烈な場合、アロマの甘さで辛口のお酒を甘口と錯覚してしまうこともあります。おそらくこの方はアロマの甘い香りとワインの甘辛の区別ができないのでしょう。ゲヴュルツトラミネールも充分熟成させて、半辛口や甘口にして食前酒やデザートワインにすることもできます。ただ、それはゲヴュルツトラミネール種のワインの一部であって、すべてではありませんから。ワイン知識もないのに(さらに自分では飲まないのに)ゲヴュルツトラミネールは食前酒かデザートワインで甘いものだと決めつけるのは、ドイツワインは甘いと決めつけていたやはりフランス通の方と共通した知識不足による偏見でしょう。このような方々がフランスの食文化を語るのは、いかがなものでしょうか?

 なおエノテカのゲヴュルツトラミネールの解説のリンクを張っておきます。

 

 

 また次のブログはちゃんと辛口のゲヴュルツトラミネールを紹介しています。

 

 

 なおアロマ系ないしは柑橘系の香りということであれば、最初にあげたあの方のいわれるとおりロワールのミュスカデもあいます(ドイツ名はムスカデーラ)。名前の通りマスカットの香りが特徴ですから。またアロマ系ならばゆううんの店長がいうとおりショイレーベも合うと思います。

 アロマより酸を重視するならば、リースリングという選択肢もあります。ただリースリングは御存知の通り、シャルドネと並ぶ万能選手なので、シーフードプラッターにリースリングを飲めというのは、シーフードプラッターに白ワインを飲めといっているのとあまり変わりません。特にフランスの場合アルザス以外にリースリングの有名な産地がありませんから、他に答えようがなくなってしまいます。また土壌が複雑なアルザスで単にリースリングといっても、どのようなリースリングになるかは不明なので、情報値はゼロに近いです。

 ドイツワインでは和食にも合うということで有名なフランケンのジルヴァーナ(フランス語ではシルヴァネール)、これもカルキがキレキレに効いたものであれば上手くシーフードプラッターにあわせることができるでしょう。ただし私はアルザスのシルヴァネールを残念ながらまだ飲んでいないので、ちゃんと石灰土壌で栽培しているのか、フランケン並みに切れ味鋭いものがあるのかどうかは答えられません。

 

 アルザスワインのリンクをここにはっておきます(なおこのリンクの情報からも最初にあげたあの方の偏見に満ちたゲヴュルツトラミネールへの意見は反駁されます)。ただここで紹介されているのは、すべてグランクリュなので、ドイツワインと比較するのであれば、GGと比較する必要があります。

 

 

なお、話を戻しますが、シーフードプラッターといった中でも、私がゲヴュルツトラミネールと特にあうと感じるのはエビやカニといった淡泊な味のものです。逆に牡蠣のように味が濃厚なものはアロマより酸を重視した方がいいような気がします。

 このゲヴュルツトラミネールをplateau de fruits de merに合わせるというのは、私の発明ではなく、私の所属する大学の恩師(故人)がサバティカルでフランス革命200年の年にフランスに行かれたとき、ノルマンディーのある店でギャルソンに勧められたものです。私もフランスでノルマンディーに2002年に行ったとき、モン・サンミシェルの手前の村で試したのが初めてで、その後フランスの海沿いの街でplateau de fruits de merを食べるときにはいつもゲヴュルツトラミネールを合わせるようになりました。当時は夏に牡蠣を食べることはまだ一般化しておらず、plateau de fruits de merには、私の先日のブログで借用した写真のような牡蠣は入っていなかったと思います。

 

 最後に蛇足ですが、私に絡んできた今回のブログの最初に触れたフランス在住氏はFBに、日蓮宗以外の宗教は邪教、邪宗だとか他宗教・他宗派を攻撃したり、戦争についても陰謀論とかを垂れ流している方だったので、今回を機会に縁を切ることにしました。彼が私のブログを自分のページで攻撃したりすることもあるかも知れませんが、無視して下さい。フランスにかかわる、二言目にはフランス、フランスという日本人の方のすべてがこのような方では(おそらく)ありません。念のため。