今回の欧州旅行ではフランクフルト→ウィーンの移動とウィーン→パリの移動に寝台列車を利用した。理由は単純で早めに事前予約しておくとディスカウントプライスで購入でき、航空券に比べると圧倒的に安かったからである。共にコンパートメントの単独利用(朝食付)で、フランクフルト→ウィーン間は209.90ユーロ、ウィーン→パリ間は139.90ユーロであった。なお、フランクフルト→ウィーンの列車が1時間以上遅れたのは参ったが、その分25%(約52ユーロ)払い戻しがあったので、157.7ユーロでフランクフルト→ウィーン間を移動したことになる。夜行列車は車中で一泊消化できるので、ホテル代に仮に一泊80ユーロぐらいを使うことを考えるならば、移動にかかった金額は約60ないしは80ユーロと飛行機で移動した場合の10分の1ですんだ計算になる。
若い頃は6人用の簡易寝台(クシェット)とか寝台車ではなく座席車で移動することもあったが、やはり年とともに疲れがとれにくくなると、ちゃんと横になりたくなる。ついでにいると個室でない場合は、同乗の客にいびきなどかく客がいると最悪だ特に初日(というか2日目)は羽田から北極圏経由でフランクフルトまで飛んだ後の移動だけに、絶対に横になりたかった。個人利用できるシャワー付のコンパートメントは正解だった。逆にウィーン→パリの移動では部屋にシャワーが付いておらず、ホテルで毎日シャワーは浴びていたので、共用のシャワーを使わなくてもいいと思った。
欧州での夜行寝台列車はコストと運営の関係から一時期全廃されたものの、ここ数年オーストリア国鉄 (ÖBB)が運営主体となり、復活し、路線網も拡充の傾向にある。温室ガス排出削減のために、欧州各国政府が欧州域内の航空運賃を高く維持するのであれば、充分な需要があるといえるだろう。
フランクフルト→ウィーン間の移動の写真はすでに掲載したので、ウィーン→パリ間の写真を中心に以下掲載。なお、ウィーン→パリというのはマリー・アントワネット(だけじゃないけど)が通った道のりだったりする
ウィーン中央駅での表示、ナイトジェット(NJ)468号。出発約20分前。しかし、出発30分ぐらい前まで発車番線が分からないシステムは何とかして欲しい。
同じくウィーン中央駅での表示。乗車したのは413号車。
乗車したときは座席状態。本来3名まで入れることはできる。ミネラルウォーターは飲用だけでなく、歯磨き、うがいにも用いた。右角の扉の中に洗面台がある。
車内サービスで食事を頼むこともできる。ウィーンで出発前に食べたアップフェル・シュトルゥーデルのせいであまり入らないので、簡単にクスクスのラップを注文。これで正解。
ミニゼクト(スパークリングワイン。フランクフルト→ウィーンの列車にサービスで付属していたが飲まなかったもの)や車内サービスで注文した白ワインで晩酌……
22時頃に車掌がやってきて寝台に変換してくれる。狭いです。疲れているのでとっとと寝てしまう。
シュトラスブール中央駅構内。向かいの列車の車両には「アルザス」のロゴ。
同上
朝8時頃には朝食を持ってきてくれる。朝食は6品目を選択できる(前日中に選択、追加注文を車掌に伝えておく)ので、これ以外の構成も可能。
ほぼ定刻にパリ東駅に到着
今回乗車した車両。パリ東駅にて。お疲れ様でした。
なお、欧州の夜行列車での旅行で忘れられない思い出が一つある。はじめて欧州(海外)にいった1991年当時、夜行でケルンからパリに行き、やはり夜行でパリからハンブルク、つまりドイツに戻った。当時は国境を越える国際列車は、車掌にパスポートを預けなければならなかった。ハンブルク到着1時間ほど前に若い女性の車掌さんに「パルドン、ムッシュー(Pardon, Monsieur)!」とたたき起こされ、パスポートを返してもらった。若い女性——顔はよく覚えていないが美人だった——に朝、フランス語で起こされ、若い身だった当時ドキドキとときめいたことを覚えている