玄関に入ると一台の織機が設置されている。縞木綿が掛かった織機である。
織機に市川孫十と記されている。
孫十三は慶応の生まれなのでこの織機は江戸時代の物である。
市川家は幸田町の深溝松平家の家臣であった。
織っているものは本物の三河木綿と言えるのである。
さて、次の織物はこれだ!
あれ!この織物は隙間が出来てるよ
「縞の織物ですね、隙間があって風通し良さそう、なんという 織物ですか? 籠編みのように見えますが」
「この織物は疑紗という織物です。織物をよーく見ると隙間がありますこの隙間が紗とか絽という織物に似ているので疑わしい紗ということで擬紗と呼ばれている織物です」
「本当かな?」

