恋人よ その29 | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 

 ジェシンとユニが、ユニの入学後あまり時をおかずに仲を深めていったのを、ヨンハは少々驚きをもって見ていた。当然だった。ジェシンはもてない男ではなかった。中高は男子校だったが、大学に入り、まともに講義に出るようになってからは、その容姿と優秀さでひそかに人気はあったのだ。韓国の女性は逞しい男性が好きだ。その点、ジェシンは見るからに男らしかった。人気のある今時の顔と言えばヨンハの方が勝っていたが、総合的にジェシンは人気を集める要素を多く備えていた。ぶっきらぼうだが優しい男だとは皆もすぐわかるのだ。ヨンハは自分の親友が誇らしかったが、かといって近づいてきた女性にすぐに手を出すタイプではなく、自分が惚れこまなければ簡単に付き合ったりしないと知っていたから、昨日今日あったばかりの女の子に自ら近づいていったこと自体が驚きだったのだ。

 

 当然その前後は、ジェシンがヨンハに何を連絡してくることもなかった。三年生になると、それぞれのスケジュールは全く違ってくるし、特に二人は学部も違う。かといって自分たちが親友であることに変わりはないという認識はあるから、自分たちの仲を連絡を取ったり無理して会うことで繋げることなど必要なかった。ただ、今まではその理由の中にジェシンの女性関係は入ったことがなかっただけで。ヨンハの女性関係は大いに入っていた。ヨンハは遊び友達の女性は沢山いたから、その人たちとの時間に多くを割くと、ジェシンと会う率は下がる。別にそれでジェシンに愛想をつかされることはなかったし、ジェシンの大事の時は遊び友達との約束なんか放り投げて駆けつけるつもりでしかない。それぐらいの信頼関係はあるのだ。ただ、ジェシン側の珍しい理由に、へえ、と感心していて、自分の親友を堕としたキム・ユニという女の子に興味はもった。だからよく観察はしていたし、一度や二度は、構内で二人の時間を盛大に邪魔してやった。ジェシンには盛大に嫌がられたが。

 

 それをカン・テスはヨンハとジェシンを手玉に取る女がいる、と無理やりこじつけようとしたのだ。それでジェシンとヨンハを仲たがいさせようと噂を流そうとした。

 

 ヨンハはその気配を察知するのが速かったのだ。テスの取り巻きが妙にヨンハに対してジェシンと連絡を取っているのか、などとしょっちゅう聞いてくるようになって、ははん、と思った。これはテスが何か言ってくるな、と。今までも、ヨンハを巻き込んで留年させたような男と付き合わない方がいい、とか、繁華街の方でガラの悪そうな男と一緒にいるのを知っているのか、などとよく言ってきた。正直、留年したのはヨンハが自分から巻き込まれに行ったことだし、ジェシンには一応怒られた。それに繁華街の方でジェシンが会うのは、長年やってきたテコンドー道場の仲間、年上の人たちと飲みに行ってるのだと知っていた。ジェシンはあれでなかなか年上の人に可愛がられるタイプなのだ。自分の兄が大好きなせいかもしれない。なんにせよ、テスの取り巻きやテス本人がジェシンのことを良く言ったことは聞いたことがなかったから、今度は何か、と用心してよく観察し、聞いた。

 

 ユニは物覚えもいいし、いい子だから、ジェシンの親友で何度か貌を合わせたヨンハには当然挨拶をちゃんとする。ヨンハは愛想がいいし、かわいい女の子なら余計にちゃんと相手をする。短いそんなやり取りを、テスとテスの取り巻きは自分たちに都合の良い、どろどろしたものに勝手に変換した。媚びを売っている。どっちか天秤にかけてるんだろう。最初は女慣れしないムン・ジェシンをひっかけて、結果は玉の輿を狙ってムン・ジェシンの周りの羽振りのいい男に乗り換えるつもりなんじゃないのか。仲間内でそう声高にしゃべり、それを周りに聞かせ、そして噂を広げ、ヨンハとジェシンの間に疑心暗鬼を生じさせる。

 

 「ホントにさア・・・親子って似るよなあ。お前の父親、そうやっていくつか小さい会社のっとったよなあ・・・有名だよ、お前の父親のアコギなやり方。何人も失業させて、この国の失業率上げてるの、おまえの父親なんじゃないの?」

 

 とヨンハは大勢のいる講義室のど真ん中でぶちかましてやったのだ。

 

 

 

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