天網 その37 | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 

 「そんなに怒鳴らなくったって聞こえるって。」

 

 と文句を言いながら、おかえり、とジェシンを招き入れたヨンハ。長机の上には多くの帳簿が並び、忙しく仕事の処理をしていたのが分かる。

 

 「とにかく、話を筋道立てて教えろ。細かいことも分かったんだろうが。」

 

 「テムルと話をしなかったのか?」

 

 「あいつが知ってる話は大体聞いたし、なんとなく何があったかは分かったが、お前、こんな話あいつから根掘り葉掘り聞けるかよ!」

 

 相変わらず優しいねえ、テムルにだけ!と叫んだヨンハを睨みつけて、ジェシンはどっかりとヨンハの正面の椅子に座って腕組みをした。その様子に肩を竦めたヨンハは、開いた帳簿はそのままに、ため息をついて自分も腰掛け、ユン家の兄妹のたくらみから、今現在その二人がどうなったか迄をジェシンに話して聞かせた。

 

 

 黙ってヨンハが語るのを聞き終えたジェシンは、ぬるい、と一言こぼした。

 

 「甘いよなあ、どこに行ったって悪さする奴はまたやるよな、似たようなことを。」

 

 ジェシンの一言にそう返したヨンハだが、その続きの質問に答えるのには躊躇した。

 

 「で、そのユン家のドラ息子はもう出立したのかよ、どこに行くかぐらい、お前突き止めてんだろ。」

 

 妙に落ち着いた声音が逆に怖い。

 

 「こ・・・コロは暗行御史の後始末があるから今忙しいよな~~?」

 

 「あ?調べの詳細は冊子にして全部渡してある。手続きの書類には署名してきた。王様にも呼ばれてご報告申し上げ、特別に休みを頂いてきた。暇で暇でしょうがねえんだよ、俺は。」

 

 「そっ・・・そうかあ!じゃあ、疲れを取るために屋敷に戻って休息しないとさあ!」

 

 「そんなに柔じゃねえ。それによ、今回はとっ捕まえるのに大して暴れられなかったんだよ、弱っちくてよぉ・・・俺が踏み込んでったらすぐに降参しやがった。兵もせっかく連れてったのによぉ。力が余ってんだよ。」

 

 首をこき、こきと鳴らす姿がまず怖い。お願いだから、お願いだから。

 

 「さ・・・騒ぎを大きくすると、困るのはテムルなんだぞ!イ家とユン家の間で内密に事を納めたのは、決してユン家のためだけじゃないのはコロだってわかるだろうが。この騒ぎで一番傷つくのはカランの名誉だろう?それを知って悲しむのはテムルだろうが!だから、腹が立つのはわかるけど!俺だってわかるけど!でも知る人が少ない今の時点で話を止めとかないと!」

 

 「別に騒ぎは起こさねえよ・・・都ではなあ・・・。」

 

 ジェシンは立ち上がると、のしのしとヨンハの傍にやってきて、ぐい、と顔を近づけた。

 

 「せっかくの休暇だ、ちょっとばかり遠乗りしようと思ってよ・・・イ・ソンジュンは都を出たのが、ユン家で話を付けた日だな?6日経つ・・・。あいつは二日前には『小屋』についてるだろうよ。キム・ユニの調子が悪くないなら、そろそろこっちに戻ろうとしてるんじゃねえか。孕んだ女抱えてよ、何かあったらことだろ。トック爺がついてる?爺よりキム・ユニの方が絶対に強いぜ。なんにせよ俺はよ、ちょっとは悪さをしている奴らの考えてることはわかるんだ。」

 

 「・・・な、なんだよ?」

 

 「罪人でもないんだ、縛められて本貫の地に送られてるわけじゃねえだろ。付き添いはいるとしてもだ、手足が自由に動くんだから、最期に一花咲かせてやろう、みたいな見栄を張る奴らなんだよ。」

 

 「それは・・・。」

 

 「博打を打つ奴らってのはよ、負けるのは運が悪いからだっていうのが言い訳だ。何でも何かのせい、人のせいなんだ。そのユン家のバカ息子はよ、自分が在所に送られるのはよ、誰のせいでもない、イ・ソンジュンのせい、イ・ソンジュンがなぜだか大事にしている派閥違いの奥方のせいだって思ってるに違いない。もしイ・ソンジュンの行動を知ってたとしたら、どこぞで方向を変えてでも、何か仕掛ける気がするんだよなあ・・・自分の体たらくの仕返しのためによぉ。」

 

 さっさと教えろ、とジェシンはヨンハに凄んだ。

 

 

 

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