ある作家のネタ帳 その46 | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 

 第三巻が出る、という時、ヨンハは叫んだ。

 

 「分かったんだ!この現象はテムルが悪い!」

 

 それを聞いて、皆ポカンとした。

 

 「えこひいきだえ・こ・ひ・い・き!コロばっかり贔屓して書くから、俺が・・・俺が目立たないんだっ!」

 

 「仕方がないんじゃないですか。彼女にとってコロ先輩は特別なんですから。」

 

 「そんなことないと思いますよ、ヨリム先輩。だって人気投票ではソンタクとジェインが同数首位だったじゃないですか。」

 

 「てめえは何を求めてんだ・・・。」

 

 慰めているのか呆れているのかわからない返答を聴いて、ヨンハはしくしくと泣きまねをしている。何を言っても仕方がないのはわかっているので、三人はそれから丸っとヨンハを無視して昼餉を食べた。

 

 その日は結納の報告をしたのだ、皆に。その日だけユニはキム家の小さな屋敷に戻り、娘姿で結納の使者を迎えた。迎えたのは当主のユンシクと母ではあったが、ユニはちゃんと余所行きを着て別室で待機していた。小さな客間に並べられためでたい品や求婚書、釣り書きなどを撫でて涙ぐむ母に寄り添っていると、ジェシンが使者と入れ替わるように現れて、母に直接挨拶をしてくれた。それがユニには一番うれしいことだった。そのユニの気持ちはユンシクが語り、ソンジュンもヨンハも穏やかに祝いの言葉を述べた上でのヨンハの茶番だったから、どこかしんみりした雰囲気はありがたいことに霧散したのだ。

 

 本が巻数を重ねるごとに婚儀が近づく。だから本が上梓されるのはジェシンにとってもうれしいことで、第三巻が貸本屋の煽りと共に売り出されてほっとしていると、またもやヨンハが騒いだ。今度は喜びで。

 

 

 『・・・娘との婚儀を断られることは、大監の自尊心を大いに傷つけた。都一の貴公子を婿にする、そう言いふらしてきた自分と娘の立場が笑いものになったのだ。娘は自尊心はともかく、ソンタクという見目麗しい青年に心底憧れていたから、悲しみで目がつぶれそうなぐらい嘆き悲しんだ。その泣き声すら、父親である大監を刺激したのだ。「いくら儂よりも地位の高いお方の息子とはいえ、これは腹に据えかねる・・・」この婚儀がないものとなると、大監のこれ以上の出世も見込めない。そう腹の立つままに、成均館の掌議である息子にいら立ちをぶつけた。お前がイ・ソンタクをちゃんと味方に引き込むことが出来ず、対立する派閥の奴らとつるませているからわが家がおろそかにされたのだ、あのみすぼらしいキム何とかという小僧が親友?あ奴らと共に学ばねばならないから婚約はしない?縁はなかったと思ってほしい?あ奴らにうちの娘が負けたのか?いや、我が家の名が?お前など掌議として何とも思われていない証拠ではないか!・・・父親に八つ当たりされた掌議も腹は立てていた。何と言おうとも妹は可愛いのだ。父はいら立ちを息子である掌議にぶつけ、妹は泣くことで同情を集めているが、掌議はソンタクに八つ当たりするわけにはいかなかった。ソンタクの扱いを間違うと、彼の父ににらまれる将来があるのだ。だから当たり前のように、対象は決まった。ジョンミンだ、あいつが悪い。あいつがソンタクの前に現れなければ、派閥を超える仲間などできなかったはずなのに。・・・』

 

 『虹の四人衆 団結』では、本当はユニが掌議一派に娘だと知られて、王様にとらわれ、その中で政治的な駆け引きが行われる大事件だったことを、内容を変えた上にいくつかの事柄を合わせた事件に仕立て上げた。あの時、色々なことが連続して起こったのだ。ソンジュンが掌議の妹との婚約をなかったことにしたこと、ソンジュンが赤壁書だという疑いで掌議の父親の指揮する兵曹につかまったこと、その後、ユニが娘だということを脅しに使った掌議の父親の過去の罪と、ジェシンの兄の非業の死が絡み、ソンジュンの父と王様との政治的駆け引きにまで発展したこと、それらを組み合わせたのだ。ただ、その中から王様の存在とジェシンの兄のことは抜いた。流石に書くわけにはいかなかったから。

 

 そしてそこでは、すべての場面で走り回ることのできたヨンサンが最も活躍したと評判になり、ヨンハの機嫌が最高潮になったのだ。

 

 

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