㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。
ご注意ください。
これはこれはキムの若様いらっしゃいませああお頼みしたものが仕上がりましたか本当に若様はお仕事が速くて助かりますそれに仕上がりも格別・・・はい、はい、拝見いたします勿論万が一がございますからねこちらに・・・おや本日は別の若様おお!イ家の若様ではございませんか今後はお見知りおきをなんで知っているかってそりゃ存じ上げておりますよう花の四人衆を知らないで貸本屋はやっていけませんって若様方は大層有名なんでございますようッてそんな嫌そうなお顔・・・で本日は何かお探しに・・・ああお付き添いでございますかいやあ怖いお付き添いでございますねえゲフンゲフンいえねキムの若様はしっかりなさっておいでですから何も心配は・・・はあ確かに四人衆の他の皆様方よりはお小さいですがね私とそれほど背は変わりませんですようなんだかご兄弟のようでございますねえええキムの若様確かなお仕事ありがとうございますこちらが今回のお手当で次の仕事はご入用ですか急ぎではないんですが・・・うわ!
いきなり店の奥にある仕事部屋にどかどかと入ってきた両班の姿に、貸本屋の店主はひっくり返りそうに驚いた。ついでにイ・ソンジュンが驚きながらも頭を垂れるのを見、キム・ユンシクがぴょんと飛び上がった挙句にイ・ソンジュンの後ろに隠れるようにしながらも頭を下げたのにも驚いた。
あのどちら様・・・いや見た限りお偉い両班様とは分かるんですがイ家の若様が頭を下げるぐらいなんだからって若様方を呼び捨てでございますかそれはそれは大層なお偉さで・・・ええあたしは場をわきまえておりますからねそりゃ若様方が頭を下げるぐらいならあたしは這いつくばらなきゃならんのでしょうねえでも空気を壊しそうなので深々と下げるだけでいけると思いますしちょいと盗み見したいですしあたしのおられる前に現れたわけですしここはあたしの店ですし盗み聞きじゃないですよ聞こえてくるんで仕方がないと思いますってへ?!
「・・・ご視察でございますか?王様?」
「さよう、時間ができたのでな。歩いておるとそなたたちがこの店に来ておると護衛の者が見たことを報告しに来たのでな、少し付き合うがよい。」
「キム・ユンシクは仕事で来ております。」
「分かっておるわ!話は済んだのか、キム・ユンシク?!」
「あ!その!持ってきたものは引き取ってもらいました・・・。」
「それならば身軽であろう!」
「しかし王さ・・『この場ではその名は呼ぶでない。』ではなんと?」
「・・・サン様・・・だよう、ソンジュン・・・。」
「そうか。ではサン様、キム・ユンシクは次の仕事の話をこちらの主人としようとしていたところでございます。」
うへえイ家の若様はなんだか平然とお名前をお呼びしたよすごいねえ流石身分の高い若様だ物おじしない・・・って王様?!
「店主!」
ほらきたようどうするんですよう若様方助けてくださいよういくら市の者たちに狸親父と言われていてもですよういきなり王様のお相手はできませんよう首が飛びますようっていうかキムの若様王様のことをお名前でお呼びしてるんですかいどんな肝っ玉ですかい?!
「その仕事の話は今でないとならぬのか?!」
いいええ若様もお忙しいでしょうからあたしが明日にでも成均館にでむきますでございますですキムの若様そんなの悪いよなんて今言わないで下せえましようあたしが若様をいつもないがしろにしているようにおもわれるじゃあありませんかああああ若様のお仕事ぶりは大変結構でしてこちらからお頼みするものがたくさんございますんですはいはい。
「ではそのようにせよ。参るぞ!二人ともついてまいれ!」
どうぞどうぞいってらっしゃいましごゆっくりキムの若様明日必ずお持ちしますんでねあたしが約束を破ったなんて告げ口しないでくださいましよう打ち首は嫌ですようよろしくお願いしますようへっなんて?
「・・・へえ、俺がついて行ってもいいんだ・・・まあ二人きりにしたくなかったしちょうどいい・・・。」
低い声の主ははあはあイ家の若様でしたかどういう意味ですかあたしが触れちゃあいけないことでしたか面白いことが隠れてそうなんですけどちょいと書き留めといてもいいですかってあなた様は誰ですかい?!
「余計なことをすると店をやっていけなくなるぞ・・・今日のことは忘れることだ・・・お前のことは俺が覚えた。」
はひ・・・何もいたしません・・・あの・・・怖い・・・まるで武人・・・というか多分・・・武官様ですかい・・・。はあ・・・・腰が抜けましたよう・・・。