同室生の姉上 ジェシン編 その122 ~成均館異聞~ | それからの成均館

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『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による創作です。

  ご注意ください。

 

 寺参りの途中で具合を悪くしたことがありまして・・・いいえ、大した事はなかったのですわ、暑さにあてられたのだと思いますの。それでですね・・・その時に声をかけて助けようとして下さったお嬢様が・・・。とてもとてもお優しくて、下女も下男もおりましたのに、心配して私の話し相手をして下さいましたの・・・。とても上品で、お優しくて、名も告げられずに去られましたわ・・・私お礼もできないと慌てまして、下男に言いつけて、お嬢様と出会った辺りで毎日待たせましたの・・・お話の様子も、振る舞いも完璧な両班のご令嬢ですのに、どうも何かの内職の受け取りなどをするために外出をされているようでしたから・・・。何日もかかって下男はやり遂げましたの。けれど私はもう一つその者に命じてまして・・・お嬢様がご自分のことを下男に仰るとは思いませんでしたから、お嬢様のお住まいを調べるよう・・・ええ、ええ勝手をして申し訳ありませんけれど、通りすがりのお方ですから他に方法はございませんでしたのよ。それに、お手紙には、寺参りの時にお会いしたいと場所や月命日を記しましたし、下男にも言づてさせましたが、やはり慎み深いお方で、すぐには応じて頂けませんでしたの。でもとても奥ゆかしくて、私はとてもこの出会いをうれしく思いましたの。

 

 いつもに似合わず饒舌に、そして夢見るように語る妻をグンスは思い浮かべた。とても楽しそうで、期待を身体一杯に漲らせて、だんだん生気をなくしていく一方だった長男が亡くなってからのこの数年を思い返しても、一番若がえった様な気がした。良いことだ。それに関しては。

 

 お嬢様のお住まいの村で、下男は少々人に聞いてきてくれましたの。そうしたら、大変貧しいけれど、最近ご子息が小科に合格して成均館の儒生になるという大出世をされたと評判のお家でした。村唯一の両班のお家で、そのご子息がキム・ユンシク様。もう私は興奮いたしましたの。ジェシンからよく聞いておりましたから、可愛がっているご学友のキム・ユンシク様のお話は。お姉様だそうです、そのお嬢様は。年回りもジェシンに似合いだし、私はユンシク様を知りませんが、大層お綺麗な若様だとお聞きしています。お嬢様もとてもお綺麗だったのですわ、旦那様!きっとよく似ていらっしゃいますわよ。

 

 しかし、とグンスはその時首を捻ったのだ。ジェシンの噂の中に、女関係のものは一切なかった。婚儀も頑なに首を横に振るし、女嫌いなのかと思い始めていたところだ。もしジェシンがそうならば、どんなによく似ていても、女だというだけで厭な顔をする可能性はあったからだ。だからその後の妻の言葉に驚いた。

 

 何度か下男に手紙を持たせまして、ようやっと誘いに応じて下さいましたから、お寺でお会いできましたの。お話をいたしまして、やはりとてもいいお嬢様だと確信いたしました。お名前もお聞きしまして、やはりキム家のお方でした。ユニ様と仰いましたわ・・・長くお引き留めしてしまって、街道でお別れいたしました後・・・驚かないで下さいまし、ジェシンが走ってきましたの!こちらに気づいて足を止めましたから事情を聞きましたら、なんと学友の姉上様が人に会うから心配で様子を見に来たと。寺参りのどこかの奥方様のお具合を心配しただけなのに、何度も礼のお手紙を頂いて申し訳ないと言っていたので、お誘いに応じてお話しすればよいと言った手前、何か困ったことになっていないか聞きに来たと。まさに私たちの事ではないですか!ジェシンはもっと前から、お嬢様のことを気に入っていたのですよ。いえいえ出会いは、知りません、詳しくなぞ聞けませんでした。すぐに走っていってしまいましたから。でも、あの子がようやっと気に入りの娘ごを作ってくれたのですよ、其れもとてもいいお嬢様です。旦那様、私はユニ様がいいですわ。

 

 返事は保留にした。儂もちょっと調べるから、と断って。小派閥の子息と侮って、戸籍の写し以外何も調べていなかったことを後悔した。だから、とグンスは執事を呼び、キム・ユンシクに纏わる噂を集めてくるよう、しかめつらしく命じるしかなかった。

 

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