ROSE 薔薇が咲いた日 その11 ~ヨリユニパラレル~ | それからの成均館

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『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。

  ご注意ください。

 

 

 「俺がランジェリーも選びたかったのに・・・。」

 

 「選ぶ自由ぐらいお嬢様に差し上げましょうよ・・・。」

 

 翌日の車の中で、ヨンハは不満を垂れ流していた。

 

 「服だって、キャリーケースだって、坊っちゃんの好きなものになったじゃないですか。こんなに要らないって、お嬢・・・奥様が困ってらしたぐらい買ったんですから、これ以上どうするって言うんですか。」

 

 トックが言い直した『奥様』に、ヨンハの機嫌がちょっとどころでなく直る。あと二週間。今週はユニは卒園式で忙しいが、其れが終われば有休消化のために、もう幼稚園に通勤することはなくなる。そして、二週間を切った来週の土曜日の結婚式に向けて、そしてその後から始まるヨンハとの生活に向けて、ユニは専念できるようになるのだ。其れを思うと、簡単に頬が緩む。

 

 誰かが自分の事だけ考えていてくれる、其れがこんなに気分がいいものだとは思わなかった。煩わしいことの方が多かったから。恋人ごっこをした多くの女性達。中には、最後までごっこ遊びを徹底してくれた強者もいたが、大体は途中から独占欲を見せた。いいことではないと分かっているが、一人の人とどうなるつもりも全くなかったヨンハは、最初に『遊びだ』と宣言してからつき合ってきた。皆『知ってるわ』『構わない』というのに、しばらくすると自分だけを見ろとばかりの態度をとるようになる。そんなもんでしょ、と笑ったのは、それこそ最後までビジネスライクにつき合ってくれたモデルのユリだった。パートナーがいると楽なのよね、と身体の関係など持たずに、招待されたパーティへの同伴や食事などにお互いに利用し合った。話し相手としても、ドライで、けれど自分の人生に情熱を持っているユリは心地よかった。そんなユリも、女としては気持ちは分かる、と笑ったのだ。『側に必ずいてくれる、そんな人が欲しいのは男も女も変わりないと思うけど。貴方はフェミニストだし、仕事もしっかりするし、経済的にも安心だし、女としては優良物件だもの。ただ、貴方の心が獲得できてないのに独占しようと思うのは勘違いもいいところなんだろうけど。』けろりとした顔でそう言い放ったユリ。今なら彼女が言っていたことがよく分かる。

 

 ユニは自分自身が自立した女性だ。そんなユニに一目惚れしたのはヨンハだ。ヨンハの行動は早かった。気持ちを伝えるのも早かった。けれど、自分でも良くやったと今では思うのだが、ユニの気持ちがこちらを向くまで、ヨンハは気持ちは告げても手は出さなかった。絶対に。無理強いはしないと決めて、そして頑張った。ユニに好きになって貰いたかったから。ユニの弟ユンシクの先輩だから、というのではなく、財閥の子息だから、というのでもなく、ヨンハという男を好きになって貰いたかった。情けないところも見せた。今までの自分の行動も、隠しはしなかった。隠せるものでもなかったし。ユニにふさわしい男性になるために、女性関係はきっぱりと切った。元々仕事は真面目にしていたが、もっと頑張った。恋って怖いと初めて知った。自分の生き方まで変えるのだ。生き方を変えられる人と出会えたと知った。

 

 そんなユニが自分のものになった。恋人になってくれ、そして書類上はもう妻だ。独占欲を発揮して、何が悪いのか、とヨンハは声を大にして言いたいのだが、いかんせん、ユニに味方するものが周りには多すぎる。トックしかり、ばあやしかり。ついでに言うと、多分ヨンハの父親もユニの味方に違いない。ユンシクは言わずもがな。ヨンハがちょっとばかりユニに対して暴走すると、こうやって周りから引き留められる。解せぬ、と声を大にしてやっぱり言いたい。

 

 「あ・・・水曜日は定時で仕事が終わるかどうか、スケジュールをかくに・・・。」

 

 「水曜日は会長と一緒に、取引先の役員の方と会食ですよ。お忘れですか?」

 

 秘書に聞くまでもない、と冷たく告げられて、ヨンハはしょんぼりと肩を落した。

 

 

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