ROSE 薔薇が咲いた日 その9 ~ヨリユニパラレル~ | それからの成均館

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『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。

  ご注意ください。

 

 

 旅行の準備は、自前で持っていくものは化粧品などで、下着から服に至るまでユニが迷う必要は突然なくなった。

 

 前撮りの翌日、午前中だけ人と会う仕事のあったヨンハが帰ってきてから連れて行かれたデパートの応接室。そこには春の装いがずらりと陳列されていた。

 

 ヨンハと買い物に行くこともあるユニ。別に毎回外商で買えと言われるわけではない。身につけるものを見たり買ったりするヨンハは、店舗での買い物も好きだ。飛び込みで路面に店を構えるセレクトショップなどにも平気で入る。外商にこだわっているわけではないが、なんとなく外商での買い物をする時には意味があるとさすがに分かってきた。

 

 今までも、招待されたパーティやレセプションなどへのドレスアップが必要な外出の時、婚約式の前など、人の目に晒される事が確実な行事の時には、外商を通しての購入が殆どだ。トータルなコーディネートが必要なとき、そしてまとまった数が必要なときだ。一度に頭のてっぺんからつま先、アクセサリーに至るまで揃えることができるし、ある程度ブランドでの統一性が持てる。今回もそうなのだろう、とユニは納得はしたのだが、何しろ手持ちの服だってそこそこあるのだ。下着だって、新しいものを用意しようとは思っていたが、さすがにずらりと陳列されるとはずかしいわ、となるべく見ないようにしてしまう。

 

 「短時間のフライトとは言え、飛行機の中はゆとりのある服の方が楽だからさ・・・。」

 

 とヨンハはユニの服を選ぶのに余念がない。たちまちワンピースやニット、パンツなどが選ばれていく。その上、少々フォーマルなツーピースなどもシングルハンガーに掛けられていた。

 

 「レストランによっては多少ドレスコードがあるところもあるし・・・もしかしたらさ・・・。」

 

 ここでヨンハはちょっとだけため息をついた。

 

 「一応プライベートでの旅行なんだけど、取引先の人と挨拶しなきゃいけないかもしれないんだ・・・。そうなったら、あんまり砕けた格好もしてられないかも知れないだろ・・・。」

 

 向こうで買ってもいいんだけど、時間なかったら困るしっ、と言いながらスーツをもう一点ハンガーに掛けている。それに合わせてブラウスも、と追加が又増える。日数分以上ある服の数におののいたユニは、ヨンハのを見繕おう、と引っ張って、紳士物を固めてあるところに連れて行った。明らかにユニの為のコーナーより数が少ないが、それでも小さなショップほどの商品は並んでいる。けれど、カジュアルなものばかりだった。

 

 「スーツは持っていかなくていいの?」

 

 ユニ用の少々フォーマルなものを選んだのなら、ヨンハにも必要なはずだ、とユニがヨンハに聞くと、大丈夫、とヨンハは笑っている。

 

 「この春用のスーツはもう頼んであるから、去年の秋に!」

 

 へ、とユニが驚くと、ヨンハは説明してくれた。

 ファッションブランドは、夏に冬物の、冬に夏物の新作を発表する。ヨンハは、スーツに関しては、数ブランド好きなところの、お得意様なので

ショーへの招待状や新作の案内が届くのだそうだ。その時に、気に入ったデザインや生地で、ヨンハのサイズのものを作って貰うのが定番。だから、春物は秋に注文済み。

 

 「・・・太れないわ・・・。」

 

 しみじみと言ったユニに、ヨンハは声を上げて笑った。綿シャツやざっくりしたニット、スプリングジャケットなどをユニと一緒に選びながらもまだ笑っている。

 

 「だって!冬場って・・・太るじゃない・・・。」

 

 笑うヨンハにユニは拗ねて見せた。寒い寒い冬。温かな家の中で過ごす事も増えるし、正直冬は美味しいものが沢山ある。高校の時、大学の時、職場でだって、この冬という女性の理性を壊しにかかる季節の怖さが話題にならないことなどなかったのだ。ユニは特に女性ばかりの環境にいたから、結構赤裸々に体重変動の恐ろしさを語り合ってきた。

 

 「ユニは大丈夫だろ?この冬、のりきったじゃないか!」

 

 「それは・・・忙しかったし・・・ブライダルエステもあったから・・・。」

 

 恥ずかしげに告白するユニに、ほら、下着を見に行こう、と囁いて、ヨンハはさらにユニを赤面させた。

 

 

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