ROSE 薔薇が咲いた日 その6 ~ヨリユニパラレル~ | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルの登場人物による現代パラレル。

  ご注意ください。

 

 

 美容師に身を任せながら、ユニはヨンハとのやりとりをぼんやりと思い出していた。

 

 昨晩、そこそこの時間に帰ってきたヨンハは、嬉しそうにユニとチゲを食べた後、今夜は美容のためにゆっくり寝ようね、とユニとワインを一杯ずつのみ、そのままベッドに入った。割と泊まる度に身体を重ねることが多かったヨンハの態度としてはいつもと違う。けれど、変な痕をつけても困るし、ユニが疲れた顔をしてしまってもダメだし、というヨンハのあっけらかんとした声を聞いて、ユニはベッドの中で赤面した。

 

 そのおかげもあって、ユニの体は綺麗なものだ。化粧前にマッサージもして貰ったので、フェイスラインもすっきりしている気がする。いつもより目が大きく見えるかも、と思っていると、化粧をしていた美容師が「お嬢様はとても大きな目でいらっしゃいますね」と感心した様に言ったので笑ってしまった。そのせいでちょっとした緊張もほころんだ気がする。

 

 今日は飾りはティアラですよ~、と、結った髪の仕上げにつけられたものは、何だか仰々しい箱から取り出されてきた。今日の着付けは、急なことも有りほぼ丸投げしたので、ユニが何ら指示したものなど何もないから、式場側が用意してくれたのだろうと感心していると、美容師が声をひそめて囁いた。

 

 宝石店からわざわざレンタルされたものなんです。ついているの・・・全部本物のダイヤだそうですよ。私も初めて扱いましたから緊張しました・・・どこか痛くないですか?

 

 大丈夫です、と震える声で返事したユニに、ほっとした様子で衣装の係の者から渡されたベールをティアラに添って取り付けていく美容師。今日は写真撮影なので、最初から顔が見える状態にしておくようだ。

 

 他のことを考えよう。

 

 ユニは鏡に映るティアラを見ないようにして目をつぶった。そして、ヨンハとの会話を思い出す。

 

 トックさんが新婚旅行にも付いてきてくださるって聞いたわ?

 そうだよ、あれ?言ってなかったっけ?

 ええ、言ってなかった。

 ごめんごめん。でもどうしたの?

 えっとね・・・新婚旅行にトックさんが一人だけついてくるのって、つまらないかな、と思って。

 大丈夫大丈夫!トックだから!

 ・・・でも私たちが二人でくっついてたら、トックさん仲間はずれだわ。

 部屋は別だよっ!

 そうじゃなくて、日中。それに、10日間ずっとお休みなしでしょ?だから・・・お願いがあるの?

 何々?!何でも聞いちゃう!

 あのね・・・。

 

 頼んだことを、ヨンハはすぐに承諾してくれた。それもいい、と笑って。そして二人でくっついて眠った。温かな布団に二人くるまって。穏やかな今朝。昼は少し遅めに外に出てレストランで食事して、夕方からの撮影に備えて3時過ぎにはホテルに入った。そこからは別行動だ。ユニの方が断然着付けに時間がかかる。その間、ヨンハはホテル側と撮影してくれるカメラマンと、細かい打ち合わせをしてくれることになっている。

 

 できました、という声かけに、ユニは目を開けた。姿見に映るのは、別人のような自分。普段はしないような完璧なメイクとテレビの画面の向こうの女優がしているように美しく撫でつけられた髪と、煌めくティアラ。肌理の細かいレースのベールがティアラの周りから少しだけもりあがって見え、ふわふわとユニの背中を覆っている。そして促されて立った体には、ユニのためにだけに作られたドレス。

 

 褒めそやす美容師達に、困ったように軽く会釈をしていると、おそらく支度ができたことを知らされたのだろうヨンハの賑やかな声が、ノックの返事も待たずに開いたドアから聞こえてきた。

 

 「俺の花嫁は?!もう待ちくたびれてさあ!」

 

 ユニが振り向く前に、姿見のユニの背後に現れたヨンハ。衿だけがシルバーに光り、その他はユニと同じように純白のタキシードを着たヨンハが、鏡に映るユニを見つめて囁いた。

 

 「もう、今日が結婚式で良くないか?俺、今日以上にユニの隣に立って見劣りしない男でいられるか自信ないんだけど・・・。綺麗だよ。」

 

 ユニの頬がぱあっとバラ色に染まったところで、ヨンハはユニの正面に回り手を取った。

 

 「さ、ガンちゃんが手ぐすね引いて待ってるよ!テムルによく似てるって教えてやったら、世界一綺麗な写真撮ってやるって張りきってるんだ!」

 

 ユニの手を引くヨンハに、美容師が慌ててユニのベールをそっと捧げ持った。

 

 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村