ROSE~春への準備 その19 ヨリユニパラレル~ | それからの成均館

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『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

㊟成均館スキャンダルのパラレルです。
  本筋とは全く関係ありません。


 しばらくヨンハの胸に縋っていたユニは、
 落ち着いてきたところで、ヨンハの胸に手を当てて
 顔をおずおずと上げた。
 優しく背中を撫で続けてくれた手は、
 そのままユニの背骨の線をたどっている。
 ユニは急に恥ずかしくなって
 一旦あげた顔をまた俯けてしまった。

 「驚いたよね。
  俺も予想外のことで、
  一瞬何が起こったかわからなかったよ。」

 背中をたどる手つきの色っぽさとは
 かけ離れた優しい声音がユニに聞こえる。

 「ユニさんは、楽屋に行きたかったかい?
  俺が勝手に断っちゃったけど・・・。」

 ユニはまた顔を上げて首を振った。
 振ったついでに首を傾げて、
 ヨンハにきく。

 「あのね・・・ヨンハさんは、
  あの方にどういって断ったの・・・?」

 芸能プロの社長に、囁いていたヨンハ。
 ユニには何も聞こえなかったのだが、
 その後、ユニを眺めてニッと笑い、
 ヨンハに、健闘を祈る、などと
 意味深なことを言っていたのを思い出したのだ。

 ヨンハは苦笑した。
 ユニさんてば、ヘンなところで記憶力いいんだから、と
 ポケットから小さな箱を取り出した。

 「君のね、誕生祝をするから、
  邪魔するな、って言ったんだよ。」

 あら、とヨンハの胸に手をついたまま
 見上げるユニの前で、箱を開く。

 ユニの左手を取り、
 箱から取り出したものを
 左手の薬指にすっと通した。
 
 もともとその指には、
 ヨンハがユニに着けておいてと頼んだ
 ピンクダイヤの指輪が輝いている。
 それと重なるようにするりとはまったのは
 透き通ったブルーの石の指輪だった。

 「誕生日、おめでとう。
  プレゼントだ。3月の誕生石。」

 アクアマリンが輝いている。
 その潔い透き通った色の通り、
 その石が持つ言葉は、沈着、聡明。
 そして、我慢強さ。
 まるで、ユニの今までの人生を表しているようだ。

 その箱の中には、小さなアクアマリンを
 縦に連ねたイヤリングもあった。
 その日、ユニがつけていた小さなパールのイヤリングを
 外し、ヨンハは自分の手で
 そのブルーのイヤリングをつけてやった。
 ユニの小さな耳たぶから、
 プラチナの台から連なる澄んだ水のような
 アクアマリンが流れるように揺れる。

 「ミュージカルだけでも贅沢なプレゼントなのに・・・。」

 指輪を見つめながらつぶやくユニに、
 よく似合うよ、とヨンハは囁いた。

 「ありがとう、ヨンハさん・・・。
  私、こんなお誕生日・・・初めて・・・。」

 じゃあ、とヨンハが囁く。

 「これから・・・毎年・・・
  こんな誕生日にしよう・・・。
  どうだい?このアイデアは?
  素敵だろ?」

 毎年?とユニの瞳が大きく見開かれる。

 「毎年、だよ。
  ああ、君の指が指輪で埋まってしまうね・・・。」

 それでもいいか、と笑うヨンハを、
 ユニはじっと見つめた。

 「指輪は・・・毎年はいらないの・・・。」

 笑いを納めて見つめたユニの瞳は、
 とても真面目だった。

 「一緒にいてくれたらいいの・・・。」

 それは・・・

 「俺と、かい?」

 見つめたユニは、静かに頷いている。

 その時、車は停まった。
 我にかえったユニが慌ててヨンハの胸から離れてしまう。

 ドアがベルボーイの手で開けられた。
 そこは、ホテルの前。
 ヨンハが四月から移動し、
 七月から事業部長になるホテルだ。

 先に降り立ったヨンハは、
 手を取ってユニを車から下ろした。
 少しずれたショールをふわりと肩に掛け直し、
 腰をきゅっと抱いてホテルのエントランスへと
 入っていく。

 向かったのは最上階にあるレストラン。
 個室を取ってある。
 話がたくさんあるから。
 春からのヨンハの仕事の話。
 そして
 ユニに約束を取り付けるため。

 一生一緒にいてくれ。
 俺の側にいてほしい。
 
 この言葉を言うための部屋。

 ドアを開けて通された部屋の
 テーブルの上には、
 赤の薔薇の花束とピンクの薔薇の花束。
 
 二つの薔薇の花束に迎えられて、
 ユニはヨンハを振り仰いだ。


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