Мe & Мy Girl 出会い 1 ~コロユニパラレル~ | それからの成均館

それからの成均館

『成均館スキャンダル』の二次小説です。ブログ主はコロ応援隊隊員ですので多少の贔屓はご容赦下さいませ。

 ㊟ 成均館スキャンダルパラレルです。
    本筋とは全く関係ありません。
 
 
  白い日傘がくるくる回っている。
 見えるのは傘の下から見える
 爽やかな水色。
 軽やかに揺れているスカートの裾。
 
 
 ジェシンは車を駐車場に滑り込ませた。
 目の奥に残る白と水色の残像。
 女性どころか、人への関心もそれほど
 強くないはずの自分の目が、
 なぜ歩道を歩いていたその女性を捉えたのか。
 
 車から降りながら、ジェシンは不思議な
 気持ちを引きずったまま歩いた。
 広いエントランスホールに入る。
 すでに汗ばむほどの陽気。
 建物の中は、程よく冷房が効いていた。
 
 「コロ!」
 
 エントランスホールにある休憩スペースで
 立ち上がった友人。
 人を惹きつける華のある笑顔で
 ジェシンを手招きしている。
 
 無言で近づいたジェシンは、
 近くまで来るとポケットから出したものを
 ポン、と放り投げた。
 緩く弧を描いたその物体は、
 慌てて手を出した友人の手のひらに
 計ったようにぴったりと着地した。
 
 「投げるなよ~!」
 
 すねるように言いながらも顔は笑っている。
 
 「お前、わざと忘れていくのはやめろ、ヨンハ。」
 
 低い声で言うジェシンに、にやりとしたヨンハは
 慣れ慣れしく肩を抱いてのたまった。
 
 「いいじゃないか!こうして今日も
  お前に会えた!」
 
 ウルサイ、と言いながらヨンハの手を
 肩から外す。
 大きなため息をついたジェシンの目に、
 にこにこ笑って立ち上がる
 見知った顔が飛び込んできた。
 
 「コロ先輩、お久しぶりです!」
 
 そこにいたのは、大学の後輩
 キム・ユンシクだった。
 少し小柄だが、真面目で優秀な学生だった。
 何よりも、人形のようによくできた美貌と
 穏やかな性格で、女子からの人気は
 抜群だった。
 大学のミスコンテストのグランプリをとった
 女の子に、追いかけまわされていたころに
 付いたあだ名が『テムル』。
 大きな一物、という失礼な意味での命名だが、
 女子からの人気をやっかんだヨンハが
 ふざけて付けたふざけたあだ名だ。
 
 「元気だったか?
  ヨンハにこき使われてるんだろう。
  こいつがヘンなことしてきたら、
  俺に言って来いよ。」
 
 お前の替わりに締めてやるからな、と
 ジェシンが笑った。
 ジェシンはこの後輩になぜか弱く、
 彼にすれば珍しいくらいにかわいがっている
 青年だった。
 卒業してから、その真面目さと優秀さ、
 人を惹きつける不思議な魅力を評価した
 ヨンハが、自分のいる会社に就職させたのだ。
 ヨンハは韓国でも指折りの財閥の子息で、
 今、ジェシンが訪ねてきたこのビルも、
 ヨンハとユンシクが勤めている広告会社で、
 もちろんヨンハの父親の傘下の企業だ。
 
 「ヨリム先輩、またコロ先輩のところに
  泊まったんですか?」
 
 それで今日遅刻したんですね、と
 ユンシクがヨンハを睨んでいる。
 ジェシンが放り投げたスマホを
 撫でながら、ヨンハは笑った。
 
 「だってさあ、俺、昨日振られたんだよ!
  慰めてもらわないと、寂しいじゃないか!」
 
 ホントに迷惑な奴だ、とジェシンが睨み、
 ユンシクもやれやれと言う顔をする。
 ヨンハが常に複数の女性と付き合い、
 それぞれがそれほどあとくされのない
 恋愛ごっこを楽しめる相手だと、
 長い付き合いの二人は知っている。
 振り、振られる関係などありえない。
 おそらく昨夜は約束が急にキャンセル
 されたのだろう。
 
 「それで、シクはここで何してる?
  仕事じゃないなら昼飯でも行くか?」
 
 ジェシンが訊くと、
 人を待ってるんです、とユンシクが答えた。
 
 「ヨリム先輩じゃないけど、僕も忘れ物して・・・。」
 
 と言いかけたユンシクが、あ、と
 声を上げて、受付に向かって走って行った。
 
 「書類を家に忘れてきたんだ。
  夕方にその資料を持って顧客と会うからな。
  あいつ、今、お姉さんと一緒に住んでるらしくって
  大慌てで電話して頼んでたよ。」
 
 とユンシクの後姿を追うヨンハの目を
 ジェシンも追った。
 受付の手前で、駆けてくるユンシクに気づいた
 女性が、ユンシクの方に体を向ける。
 
 籐のバスケットを持ち、白いサンダルの脚が
 こちらに向かう。
 水色のワンピース。
 片手に持っているのはたたんだ白い日傘。
 
 彼女だ
 
 ジェシンの心臓が、ドクンと跳ねた。
 
 

にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村