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1988年(昭和63年)の秋に放送された、フジテレビの番組なのですが、ご存じの方はいらっしゃらないでしょうか。

上野を発車して札幌に到着するまでのノーカットの展望映像を、一つの番組にしたものです。


ただ、二時間番組内に収めるために、かなりの倍速映像で、飛ぶように景色が流れて行きます。

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叔父がこの番組を録画したVHSのビデオを、当時小学生だった僕に貸してくれたのが始まりでした。


その頃の僕は、既に鉄道大好き少年でしたが、夜行列車と言えば東海道を行くブルートレインしか見たことが無く、上野から北へ向かう列車に関しては、ほとんど未知の世界でした。


地図でしか知らない主要駅に止まりながら、次へ次へと展開して行く映像に、僕は釘付けになりました。

しかもデビューしたて、話題沸騰中の北斗星号ですから、青函トンネルを抜けて札幌まで行ってしまうのです。


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相当な衝撃だったのを覚えています。


撮影は恐らく、日の長い時期に行われたのでしょうが、宇都宮を過ぎるぐらいから暗くなってしまいます。

そこから先は、真っ暗闇。

過ぎていく駅や、すれ違う列車の光だけが頼りの映像になるですが、なぜか飽きませんでした。


その暗いままで青函トンネルに入るのですが、抜けるとそこは朝を迎えていて、うっすら明るくなっているという演出が、とても嬉しかった。

初めて見る北海道の景色と列車に興奮がピークな頃、まだ高架化されていない、雨降る札幌に到着、8:53。
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僕はこの番組の虜になりました。
あまりの楽しさに何度も繰り返し見て、一応借り物なので叔父に一度返したのですが、まだまだ見たくて最終的には戴いてしまいました。

母に「いつまで見てるの、もうご飯だよ。」「じゃあ、仙台までだよ。」などと、よく言われたものです。


この番組が、僕を北斗星好きに育てあげたのはもちろんですが、北指向、特に北海道への憧れを強くしてくれたのも、この番組のおかげだと思っています。


道中、映像はリアルで、沿線の日常そのものです。

自分の知らない世界っていっぱいあるんだなと、子供心にそれなりの刺激を受けたようで、良き先生でもありました。


また、この番組を語る上で欠かせないのが、全編で流れる70年代を中心とした洋楽のBGMです。(副音声は邦楽)
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上野出発時のシカゴも良いですし、深夜のエルトン・ジョンやイーグルス、青函トンネルから日の出までのアバや、札幌のジョン・レノンと名曲が揃い、曲順やタイミングにも、編集した方のセンスを感じます。

今では全34曲のうちのほとんどを集めて、i-podに曲順通りで入れてあります。(母のにも、同じものが入っています。)



と、こんな事までしているこの番組マニアは僕ぐらいしかいないと、自負していたのですが・・・


何年か前、某掲示板で、この番組について語られているのを見付けました。


なんと、たった1回しか放送されていないこの番組には、多くの人の心を掴んでいたのです。

伝説の番組として、再放送を願う声が多いのに驚きました。

その声が届いたのかどうか、3年前にフジテレビ739で再放送が実現したのです。

wikiによると、「今でも月1~2回のペースで再放送されている。」とあります。

そう、wikipediaで検索して、この番組が出てくるまでになったのです。


読んでみると、

「映像で使われた列車は上野16:50発の『北斗星1号』だが、青森以北は『北斗星3号』である。ただし、番組内ではそのまま『北斗星1号』として扱っている。」 


そうか、青函トンネルを抜けて朝になっているって演出も、それなりの工作があった訳なんだ・・・とか、知らない方が良いような情報も載っているのですが、曲目リストなんかも完璧に網羅してあるのはありがたいです。


すれ違う列車から推理して、途中から3号に変わっていると気付いてしまうとか・・・

上には上がいるものなんですね、恐れ入ります。


お正月、北斗星に乗る前に、予習の意味も込めてもう一度じっくり見てみようと思います。
20年以上経って、だいぶ変わってしまったのではないかと思いきや、実際には結構当時の建物や景色が残っていて、北斗星の旅をより一層楽しくしてくれます。


もういい大人になってしまったけれど、あの頃夢中になっていた自分に、少しでも近づける旅にできたら良いなと思っています。


皆さんにも是非一度見て頂きたい、お勧めの番組です。(石)