アロマ講師仲間さんで話題だった「香りの器 高砂コレクション展」に行って参りました
高砂香料株式会社さんが長年にわたって収集されてきた香りに関わるコレクション...
古代オリエントの香油壺から、
土製・石製・陶器製・ガラス製の香水瓶、
香炉、香合、香道具を約240点とすごい数の展示でした
まず、入口のところにあったこちらの文に心くすぐられました
『香りは目に見えない存在であるに関わらず、感情や記憶と深く関わり、
人間社会の様々な場面で重要な働きをしています。』
そうなんです
わたしの大好きな「香りの世界」は、目に見えないのです
だからステイホーム、ステイホームと「オンライン」が主の世界では、
スマートフォンの画面からは香りが見えない、出てこないので残念ですね
ですが、コロナで嗅覚障害が出た某アイドルが言っていたのですが、
臭いがしないと、ステーキを食べていてもゴムを食べているような感じらしいのです。
わたしたちにとって、香りは目には見えないけれども生活の中で、非常に大きな役割をしているのですね。
さて、香りの器展のお話に戻りますが、
展示はまずは外国の香り...
『異国の香り』エリアから始まります。
アルコールや蒸留器が発明される前は、
香りは芳香植物を油につけて香りをうつして用いられていました。
なので、香りの歴史は古代エジプトの香油、香膏から始まっています。
AEAJアロマブレンドデザイナーのテキストにもおわんのような固形香油を頭に載せている壁画が載っていますが、
宴会などで頭にうずたかく盛り上げて、体温で香りが拡散するのを楽しんでいたそうです(陽気♪)
最初の香りの器は土器や陶器だったそうですが、
それらでできた容器では油が染み出し、べとつくデメリットがあったそうです。
大理石より柔らかく加工しやすいような石製の容器を経て、香水瓶はガラス製の容器になりました。
続くイスラーム世界では、「焚く香り」が宗教儀礼に使われていたので、香炉が展示されていました。
キリストの生誕の際にも黄金とともに没薬(ミルラ)と乳香(フランキンセンス)が捧げられたのもこの時代ですね。
ガラス製になった以降の香水瓶の変化といたしましては、
もう少し小さく携帯用香水瓶が出現しました
携帯できるようになったことで、香りがよりファッションやアクセサリーの一部になり、
中世の貴族の女性は、観劇の際に首に下げて装いの一部に使用していました。
なんと「望遠鏡付き携帯香水瓶」もありましたよ
現代では、アロマペンダントやアロマピアスになったんだよ、と中世の女性に教えてあげたいですね笑
18世紀以降、マイセン、ウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲンによる陶磁器製の小さな香水ビンが生まれます。
ここからは写真撮影可のエリアでしたので写真付きでお伝えします。





この二つはウェッジウッドの陶器製香水瓶
食器同様、香水瓶もステキです
次のコーナー、ボヘミアンガラスの香水瓶はキラキラまばゆい













「香水メーカーの香水瓶」コーナーからは写真禁止となりました
19世紀末からはコティ社やゲランといった調香師さんや香料商が香水をつくりはじめた時代です。
このエリアにはシプレアコードのもとになった「シプル」コティ社(1917年)の香水瓶も展示されていました
また、バカラグラスでおなじみのバカラも、香水瓶も作っていたのですね~
ゲランの「ロシアの革」、ディオールの「ミスディオール」などの香水瓶がありました。
20世紀以降は、シャネル、ディオール、シバンシーなどが
デザイナーのスタイルや個性、美意識を反映した香水瓶が、香水に用いられました。
香りの器も、香りやネーミング、ブランドイメージやコンセプトと渾然一体になりました。
さまざまな化粧道具コーナーでは、蒔絵の小箱に入った香水瓶セットだったり、
螺鈿小箱に入った化粧セットだったりを博物館ぽく、鑑賞できました
ビックリしたものも展示されていて、
昭和天皇が即位した際に献上品として高砂香料が製作した香水がありました
1年12ヶ月用(12種)の香水を、附属する電熱製の昭和香炉を用いて香りを楽しむそうです。
面白いですね~~
ここまでが、異国の香りエリアでした。
『日本の香り』エリアでは、日本の香りの歴史とともに、
非常に珍しい、香りの道具が展示されていました。
今までいろいろな博物館や美術館を観てきましたが、
初めて知った初めてみた
というものばかりで、
さすが高砂香料のコレクションと思いました
まずは日本の香りの歴史から。
日本における香り文化は、仏教が伝来した6世紀以降に始まったとされています。
宗教儀式、宮中にて使われてきたのは、
王や神官など位の高い人が香りを使ってきた古代エジプトなどと同じですね。
平安時代では、薫物合せいにて、香りは優雅な遊びに、
室町時代には香道が生まれ、組香というお遊戯も。
江戸時代には職人による分業制にて香道具が次々に製作されるようになりましたが、
明治時代になると香りの器は、逆に個人作家の美術作品となっていきます。
そのため一点ものの香炉や香合が増えます。
さまざまな香炉・香合、源氏物語の香道具などを堪能しましたが
わたしが特に珍しいと思ったのは、「香時計」です。
(写真でお店出来なくて残念です)
香はねむの木の葉を乾燥させて粉にしたもので、
くぼみに埋めた香に火をつけて燃えていくのですが、
6センチ燃えるのに30分かかることを利用し、
寺院などでの諸行事や水田の用水配分に使われたそうです
また、「香枕」は、寝ている間に髪に香を焚きしめる道具だそうです。
寝ている間に髪の毛が燃えないのか、ハラハラ心配になってしまいますが笑、
内側に香炉をおく引き出しが収められている枕です。
香木コーナーところでは、やはり「沈香」が出てきましたね。
香道では沈香に熱をもたせて香りを立たせて鑑賞(聞香)するそうです。
そのため、沈香の質がとても大事になってくるのだと思います。
沈香は木の樹脂化した部分に非常によい香りがして水には浮かずに沈むそうですが、
最高級のものは「伽羅 きゃら」と呼ばれます。
伽羅はお香屋さんでみたときも非常に高価でした
産地と考えられた地名にちなんだ分類では、「羅国」、「真那賀」、「真南蛮」、「寸門多羅」、「佐曾羅」という沈香もあります。
源頼政からの伝来された、正倉院に蔵されている「蘭奢待(らんじゃたい)」も展示されていました
(めっちゃ豆みたいに小さかったけど笑)








