「ブランクブルー」
10年以上前、連載していた読売新聞コラム「潮音風声」(10回連載)で書いた。
「助教授」時代である。
予定がスケジュール帳に埋まってない(ブランク)と不安になる(ブルー)、大学生の心理を例えた。
手前ミソだが、早く目をつけた方だったと思う。
今、その傾向はさらに強まっているようだ。
「日曜日、予定がないとちょっと不安になる・・・」
っていうCMコピーを先日見た。
まさに「ブランクブルー」だ。
もったいないよな~。
でも、そういう時代、ってことだ。
影山 貴彦
『ブランクブルー』 - 2003年11月5日 読売新聞夕刊 「潮音風声」より
私たちを急き立てるように、文具店、書店に来年のスケジュール帳が並ぶ季節となった。先日、教え子の一人が、「今月めっちゃ忙しいんですー」と言いながら手帳を開いて見せてくれた。その場にいあわせた別の学生はそれを覗きながら、「ええなあ、私なんかここんとこ全然イケてない」と羨ましそうに言った。言われた方は満更でもない表情である。
書き込まれている内容は、ゼミ発表、アルバイトの予定、仲の良い友人の誕生日、デートの約束など、特別変わったものはない。私が興味を持ったのは、「手帳が埋まっていればイケており、空欄が目立つようだとイケていない」とする彼女たちの心理である。「社会に出れば嫌でも手帳の空欄は埋まっていくよ」という言葉をのみ込み、早速翌週の授業で、このエピソードを紹介した。十数人の学生たちは一様に、「私も手帳が空欄だと不安になります」と明かしてくれた。
彼女たちの心理を仮に「ブランクブルー」と名付けてみた。「空欄不安症候群」と言っても良いだろうか。スケジュール帳をつけ始めてからまだ日が浅い彼女たちだから、もの珍しいのだろうという見方もあるかも知れない。けれども、さほど重要とも思われない事項で手帳のブランクを潰していく行為は、心の隙間をなんとかして埋めておきたいという願望の現われでは、とも私には思えるのだ。
無理に忙しく過ごす必要はないのにと思う私は、やはりオッサンなのだろうか。
http://www.dwc.doshisha.ac.jp/…/liberalar…/2003/post-60.html
10年以上前、連載していた読売新聞コラム「潮音風声」(10回連載)で書いた。
「助教授」時代である。
予定がスケジュール帳に埋まってない(ブランク)と不安になる(ブルー)、大学生の心理を例えた。
手前ミソだが、早く目をつけた方だったと思う。
今、その傾向はさらに強まっているようだ。
「日曜日、予定がないとちょっと不安になる・・・」
っていうCMコピーを先日見た。
まさに「ブランクブルー」だ。
もったいないよな~。
でも、そういう時代、ってことだ。
影山 貴彦
『ブランクブルー』 - 2003年11月5日 読売新聞夕刊 「潮音風声」より
私たちを急き立てるように、文具店、書店に来年のスケジュール帳が並ぶ季節となった。先日、教え子の一人が、「今月めっちゃ忙しいんですー」と言いながら手帳を開いて見せてくれた。その場にいあわせた別の学生はそれを覗きながら、「ええなあ、私なんかここんとこ全然イケてない」と羨ましそうに言った。言われた方は満更でもない表情である。
書き込まれている内容は、ゼミ発表、アルバイトの予定、仲の良い友人の誕生日、デートの約束など、特別変わったものはない。私が興味を持ったのは、「手帳が埋まっていればイケており、空欄が目立つようだとイケていない」とする彼女たちの心理である。「社会に出れば嫌でも手帳の空欄は埋まっていくよ」という言葉をのみ込み、早速翌週の授業で、このエピソードを紹介した。十数人の学生たちは一様に、「私も手帳が空欄だと不安になります」と明かしてくれた。
彼女たちの心理を仮に「ブランクブルー」と名付けてみた。「空欄不安症候群」と言っても良いだろうか。スケジュール帳をつけ始めてからまだ日が浅い彼女たちだから、もの珍しいのだろうという見方もあるかも知れない。けれども、さほど重要とも思われない事項で手帳のブランクを潰していく行為は、心の隙間をなんとかして埋めておきたいという願望の現われでは、とも私には思えるのだ。
無理に忙しく過ごす必要はないのにと思う私は、やはりオッサンなのだろうか。
http://www.dwc.doshisha.ac.jp/…/liberalar…/2003/post-60.html