BEXAより販売中の「民法演習サブノート解説講義」(https://bexa.jp/courses/view/226)ですが,先日からお知らせしているとおり,2月1日に発症した椎間板ヘルニアの影響により,レジュメ作成作業及び収録が思うように進んでおりません。

 

私自身,回復がいまいち進まない状況に不甲斐無さを感じており,どうにかできないかと日々苦慮しております。ただ,このような状態を嘆いていても,司法試験は刻一刻と迫っているのであって,これ以上,受験生に対する情報提供を遅滞するわけにはいかないと考えております。

 

そこで,講座としてレジュメをアップロードするまでの期間限定にはなりますが,順次,民法演習サブノート解説講義債権各論Ⅱの論述例部分をこちらのブログへアップしていくことにいたしました。完成した部分から順次PDF化して受講生限定で配布するなどの方法も検討しましたが,かえって事務作業量が増えて,肝心の仕上げ作業ができないという事態になってしまいます。

 

緊急事態における暫定的な措置ですが,ご理解いただければ幸いです。

 

次回の通院時に,もう少し痛みをコントロールする方法がないかを担当医に相談したいと考えております。その結果も踏まえ,アップロード時期の目安をお伝えできればと思います。

 

この度は,ご迷惑をおかけしており,大変申し訳ございません。

 

通院結果を踏まえた今後の予定はこちらです。

https://ameblo.jp/takayukiyasuda-shihou/entry-12580023625.html

 

141.  委任と事務管理【☆☆】

潮見・民法(全)476頁〜479頁。

委任契約と共通する部分があるので,横断的に知識整理を行いましょう。

(1)事務管理に基づく債権譲渡の通知?

債権譲渡の対抗要件に関しても併せて復習しておくようにしましょう。

【論述例】

1 小問1について

⑴ 債権譲渡の通知は,譲渡人から債務者に対して行われなければならない(467条)。なぜなら,譲受人による通知でも認めることになると,真実は債権譲渡が行われていないにもかかわらず,債権を譲り受けたとして通知が行われる危険性があるからである。よって,債権譲渡の通知は,譲渡人,その包括承継人および同人の受任者のみが行うことができるのであって,委任を受けない者は債権譲渡の通知を行うことができない。

⑵ 以上のとおりであるから,ⅰの場合は,Aは,Cに対し,委任に基づき譲渡通知が行われたとして債権譲渡の有効性を主張することができる。一方,ⅱの場合は,自主的に行った債権譲渡が事務管理に当たると主張して債権譲渡が行われたことを対抗することはできない。

(2)委任契約(準委任契約)により生じる注意義務と事務管理ないし緊急事務管理に生じる注意義務

【論述例】

2 小問⑵

⑴ ⅰ Dの家族が付き添っていた場合

 Dの家族が付き添っていた場合は, Dの家族がE救急病院に対し,Dの治療を委託する旨の契約が締結されているはずである。それゆえ,E緊急病院で治療に当たったFは,善管注意義務を持って治療に当たらなければならなかった。

 よって,仮にFが適切な検査および転院措置を行わず,簡易な処方のみを行なった点が,医師として求められる善管注意義務に違反するのであれば,Fは,緊急状況下であることを理由にして注意義務の軽減を主張することはできない。

⑵ ⅱ Dが意識不明であった場合

 Dが意識不明であった場合,Dの治療は何らの契約が締結されることなく実施されている。そこで,義務なくDの身体に対する急迫の危害を免れされるために治療を実施しているといえるため,緊急事務管理に該当する(698条)。そのため,F医師が検査等を適切に行わなかった点に悪意・重過失がある場合に限り,損害賠償義務を負うことになる。

 よって,Eは,応急治療上の注意義務の軽減を主張することが可能であり,F医師の検査等を行わなかったことが軽過失に基づくものであるときに限り損害賠償義務を負うことになる。

 

債権総論まではBEXAで販売中です(https://bexa.jp/courses/view/226)。