現在制作中の講座の答案例を,少しずつですが紹介していきます。

時間がかかってしまっており申し訳ありません。その分,実践的な内容に仕上げておりますのでご容赦ください。

なお,講義で使うレジュメには,脚注にポイント解説をいれています(添付画像参照)

 

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⑸で問われているのは,「Aが177条の『第三者』に当たるかどうか」についてである。条文の要件に即して書くのであれば,「第三者として保護されるか」というような指摘の仕方はしないほうがよいでしょう。この部分は,「同じようなことを書いているが差がつくポイント」であるから,丁寧に書くようにしたいところです。なお,要件事実的な整理が気になるところですが,まずは,「実体法」の整理を最優先に行いましょう。

【論述例】

⑴  B市は,Aの親から設定を受けた地下地上権(269条の2)をAに対抗できるため,AのB市に対する乙の撤去請求は認められないという主張を行うことが考えられる。このような主張ができるかどうかは, Aが177条の「第三者」に該当するか否かによる。

⑵ 「第三者」とは,……(定義を示すとともに,背信的悪意者は該当しないことを示す。)。

⑶ これを本件についてみると,Aは,「甲土地を乙が通っていることを知りながら,B市を困らせる目的で親から譲り受けている」ため,B市が乙を通すために甲土地を利用していることを認識している。また,Aは,B市を害する意図で甲土地を譲り受けているので,いわゆる背信的悪意者に当たる。よって,B市が登記を備えていないことを主張する正当な利益を有していない。それゆえ,Aは,「第三者」に当たらない。

したがって,B市は,Aに対し,地下地上権の設定を対抗することができる。よって,AのB市に対する乙撤去請求は認められない。

 

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