こんばんは、天野隆征です。
今回は、押井守監督「機動警察パトレイバー 劇場版」について
妄想を膨らませて裏読みを試みたいと思います。
この作品、聖書からの引用や隠喩が豊富に取り入れられていて
「どうぞ裏読みしてください」と言わんばかりなので、表のストーリーとは異なる観方について探りたくなるんですよね。
ということで、誇大妄想スレスレまで妄想力を披露しての、個人的裏読みの成果を書き残したいと思います。
キーワードは二つです。
「HOS」と「方舟」
まず前者から。
HOSとはレイバーを制御する、篠原重工による次世代型システム(OS)であり、「Hyper Operating System」の略称ということになっています。レイバーの暴走(操縦者なしに動く)の原因でもあります。
がしかし、次世代型を「Hyper」なんて投げやりな形容詞で表すなんて、なんだかとってつけた感があります。
「HOS」という名称は、それ自体何らかの暗喩であるように思えてならないんですよね。
そして調べたところ、ありました。
英和辞典曰く、
Hos.=聖書(Hosea)の略
ビンゴ!当たりくじを引いた気分です。
そして、仮にHOSが聖書の隠喩だとするなら、レイバーとは聖書、つまり「神の言葉によって駆動する人型機械(≒人形)」と表現できます。
あれ、、
それってつまり、人間のこと?
「なんでやねん、、」と思われるかもしれませんが、聖書的な解釈に立ち返るとこの妄想は妥当性があります。
ゴーレムというものがありますが、あれは神に生命を吹き込まれる、つまり神の言葉を吹き込まれる前の土人形としてのアダムである、と言われます。
つまりアダム(=人間)は、土人形に神の言葉を吹き込まれた姿、ということになります。
(この辺は『旧約聖書』の知識がある方は、眉唾ではなくそういうものだとピンとくるかなと思います)
そして、作中のレイバーって、なんだかずんぐりむっくりしていて、ゴーレムっぽいといえばゴーレムっぽいですよね。
(まあ、土木建設用機械なので、武骨なデザインになりますよねと言ってしまえばそれまでではありますが)
神の似姿をした人形に、神の言葉(聖書)を挿入すると、人間になる
人の似姿(=神の似姿)をした人形に、HOSを挿入すると、レイバーになる
この類似性たるや。。
つまり作中におけるレイバーとは、他ならぬ人間そのものの隠喩なのではないかと。
というよりも、人間と人形の区別をつけなかったデカルトのように、人間と機械(レイバー)の関係を、境界のないシームレスなものと捉えていて、その表現としてこういった暗喩を仕込んだのではないかと、思ったりするのです。
そして、その前提を置くと、
なぜ(どう見ても「方舟」には見えない)洋上プラントが「方舟」というネーミングであるのかを憶測でき、かつそれにまつわる更に壮絶な裏読みが可能になるのです!
(ビバ!妄想力!という感じですね)
…さて、
長くなりましたので、それについては次回。