関西圏の大学が一堂に会する手話パフォーマンスイベント。
それがWith Festa……Withと呼ばれるイベントだった。
今年でこのイベントに関わるのは4回目になる。
初めてこのイベントに参加したときのことを今でも覚えている。
しかしながらそれはまるで夢の中のような出来事として美化されていた。
ある曇った空の下で京都に赴いた日のこと。まだ僕がデパートでバイトしていた頃、みんなで力を合わせて発表し、優勝した日のことを今でも思い出す。あの時僕はまだ1回生だった。そして、今4回生になった。自分の大学の団体では圧迫感や後輩との折り合いをつけなければならないと思い、ならば僕は主催団体側に入り込むことで後輩たちを見届けることにした。
その日は優勝した日と比べて晴れやかだった。このイベントは年々規模を大きくしていっている。学生内での発表会だったものがいつの間にか、取材を受けていたり、チケット制になっていたり、変わっていっている。正直なところ昔のままが僕は好きだったけれど、主催団体の活動方針的には仕方ないところもあるだろう。それに一般のお客さんを巻き込むのは良いことだと思う。
受付をしてカメラ撮影をした。慣れないことではあるが、自信を持っている時の自分ならまぁまだなんとかなる。しかしながら、この後が大変だ。
発表会の結果、自分の団体は優勝を勝ち取ることが出来なかった。僕の4年間は終わった。かつてあった優勝を取り戻すことは叶わなかった。だが、自分の中で優勝してほしくないともなぜか思っていた。だって僕はただここでカメラを回していただけだ。それで優勝されてもきっと僕は心から喜ぶことはなかっただろう。もう一度君たちと一緒に臨みたかったな。
交流会の時間になった。発表団体から有志で参加する交流会は、発表に参加した大学生が交流しあう良い機会である。もともと僕はこれの為に来たのだ。発表会の司会をすることは叶わなかったが、交流会を口火を切る司会役をすることはできた。これも3つ下の学生のおかげである。感謝したい。盛り上げることについて協力できたのかどうかは分からないが、交流会自体も大体無事終了することが出来た。
Withは、学生時代のWithは完全に終了した。もうこのイベントに関わることはないのだろう。上半身が痛んだ。自分自身を焚きつけたからだ。利き手を動かしすぎて痛んでいる。あとどれだけ手を動かすことがあるだろう。12月も半分を過ぎて、空気が冷え込んできた。色んな事が終わっていくんだ。僕は思い残すことがないようにしないといけないんだ。