【春なのに】は1983年に発売された
柏原芳恵という方の曲らしい。
作詞・作曲には中島みゆきが
関わっていたことを初めて知った。
卒業だけが理由でしょうか
会えなくなるねと
右手を出して さみしくなるよ
それだけですか
むこうで友だち 呼んでますね
流れる季節たちを 微笑みで送りたいけれど
春なのに お別れですか
春なのに 涙がこぼれます
春なのに 春なのにため息 またひとつ
上のような歌詞で、これは立派な卒業歌である。
桜咲く卒業式の日に、
涙を零して別れを惜しむ人の情景が浮かばれる。
なんだか曲調も物悲しげで、ため息またひとつ、
という歌詞で終わるこの曲はなんとも言えない感覚で消えていく。
これは僕が幼稚園を卒園する時に合唱した曲だった。
【旅立ちの日に】を超える寂しさを持つこの曲を
なぜ僕は幼稚園で歌ったのか、非常に不思議である。
幼稚園時代を思い返すことは殆どない。
原初の記憶はあの幼稚園の滑り台で、
好きな女の子を追い回す友達に文句をつけにいくというものだった。
そういえば声の大きさを買われて、
舞台挨拶を任されたことが
一度だけあったな。
あれはどうなったのだろう。
それでも幼稚園のころから、妙な絵を描いたりして
先生方に心配されていたようである。
幼稚園の頃、そんな子供の頃の記憶が
まだ僕にあるところを見ると、
僕はどうやらしつこい人間だったようだ。
春なのに。
出会いの季節であるはずだが、
別れがまず先にやってくるあの季節。
今は秋。
しかし、もうじき長袖に腕を通し、
少ない雪模様を見た後は、春を迎える。
その時僕はスッキリと新生活を送れるのだろうか。
ため息をひとつもらして、そして去っていくような、
そんなことのないようにしたいと、思うばかりである。