会議合宿最終日。
会議も大詰めである。ホテルを出てからも4時間ほど会議する。就職活動はどうした?と自分に問いかけたい。僕はこれに集中している場合ではないのだ。
この団体の代表に決まった。
その事実は重い。代表というのは生半可な気持ちでなるものではないと考えている。その団体を愛し、生活を預けられるのが代表……。僕はまだ代表になったという自覚がなかった。自分で名乗っていかなければならない。言葉には力がある。
会議合宿を終えると、スタッフ達でカラオケに行った。
といっても依然声なしである。声なしでのカラオケなど初めてだったし、奇妙だった。
声なしでのコミュニケーションは大切だ。
しかし、声ありでのコミュニケーションも大切である。僕はしばらく声ありでのコミュニケーションをしていなかった気がする。
夜に彼女と電話をしたが、結局嫌な雰囲気になって切れてしまった。「要らない」と言われれば流石に僕もいい気分はしない。彼女と僕はいつもいつも団体のことについて話している。トークテーマがないのだ。LINEだと喧嘩になるからあまりLINEはしない。明らかに考え方が合わない人である。時折何故関係が続いているのかと不思議に思う。本来はこんな気持を文字に起こすべきではないのだろうが、なんだか僕は疲れていた。
自分が自分の団体にどれだけの時間と気持ちを注いだのだろう。それが今や「要らない」もの扱い。唯一の拠り所であるはずの人からも拒否され、参加したくても参加できず、後輩には「この団体を捨てた男」と冗談交じりに言われる。
電話を切った瞬間、急速にこの団体を辞めたくなった。この気持ちは気の迷いだろうか。はたまた……。もう自分の知っているものは何一つなくなってしまった気がする。僕の意思を継いでくれる人も居らず、欲してくれる人も居なかった。
心の余裕が無くなったかもしれない。
就職活動のせいにしておくことにする。