野生の獣が美術品を盗む…?

宝石などが好物なのでしょうか。
銀座通りの美術商には様々な美術品が展示されていました。
その中には立派な金色に輝く豹の置き物もあります。
ところが、恐ろしいことが起こりました。置き物のはずの豹が動き始めたのです。
人々は慌てて逃げ出しました。警官隊が来たとき、既に豹はいませんでした。
どこへ行ってしまったのでしょう。
次に黄金豹が現れたのは銀座の宝石商でした。
店員たちの見ている前で、黄金豹は高価な宝石を食べてしまいます。
警官隊が来ると、黄金豹は宝石商の応接室へ逃げ込みました。
どうやったのかわかりませんが、応接室のドアには鍵が掛けられています。
警官たちはドアを破って、応接室に入りました。しかし、どこにも黄金豹の姿は見当たりません。
黄金豹は完全な密室から姿を消してしまったのです。
数日後、黄金豹は日本橋の銀行に出現しました。
そして一千万円の札束を食べてしまうと、またしても姿を消しました。
翌日、少年探偵団の小林君と園田武夫君が事件のことを話していると、黄金豹がやってきました。
『園田君、俺は君のおとうさんの大事にしている豹の置き物を盗み出すつもりだ』
ああっ、この豹は口が利けるのです! 園田君のおとうさんは豹が好きでした。
だから豹の絵や毛皮、置き物などを集めているのです。
黄金豹の言った豹の置き物とは20センチほどの大きさで、純金製の宝物です。
体の斑点は黒いメノウで、両目は青いダイヤモンドという、非常に高価な美術品です。
黄金豹が豹の置き物を盗むと予告してから二日後の朝のことです。
おとうさんに頼まれて、武夫君は部屋へ本を取りに行きました。
園田氏は豹が好きですから、ソファーの上に豹の毛皮を掛けてあります。
おやっ!? 豹の毛皮が動いたような… いや、錯覚ではありません。
確かに豹の毛皮が起き上がろうとしています。黄金豹は既に園田家に忍び込んでいたのです。
黄金豹から電話が掛かってきました。『今夜十時に置き物を頂戴する』と言うのです。
豹の置き物は園田氏の部屋の縁の下に隠してあります。
畳を取り外して、警官や小林少年たちが見張っています。
これでは、さすがの黄金豹も置き物を盗むことは不可能でしょう。
しかし、黄金豹は約束を果たしました。十時になると、置き物が消えてしまったのです。
小林少年は一緒に見張りをしていた助造じいさんが犯人だと言いました。
小林少年は助造じいさんのトリックを見破り、見事に置き物を取り返してみせるのです。
けれど、これで黄金豹の事件が解決したわけではありません。
黄金豹は何度も世間を騒がせるのです。黄金豹は本当に古代の魔物なのでしょうか。
それとも誰かが生み出した怪物なのでしょうか。








