この物語から少年探偵団に新しい仲間が加わります。
それは花崎マユミさんという、小林少年より年上のおねえさまでした。
団員たちは大喜びです。
それから四~五日が過ぎました。マユミさんが銀座通りを歩いていると、巨大な顔が現れたのです。
おや? 何だか妙な音が聞こえてきました。これは悪魔の笑い声です。
鐘の鳴るような音で笑うので、巨人は魔人ゴングと呼ばれるようになりました。
それにしても、巨人の顔が空に映し出されるなんて、おかしな話です。
何かトリックがあるに違いありません。
今度はマユミさんの弟の俊一君の前にゴングが姿を見せました。
庭の池の中に恐ろしい巨人の顔が浮かんでいるのです。
マユミさんと俊一君のおとうさんの俊夫さんは立派な検事で、悪人に対しては容赦のない人です。
ひょっとしたら、魔人ゴングは花崎検事を憎んでいるのではないでしょうか。
ある日の夕方のことです。マユミさんの前に不気味な男が現れました。
男は『今月の十五日にお前を消してしまうから、覚悟しておけ』と言います。
マユミさんは急いで明智探偵事務所へ向かいました。
しばらくの間、マユミさんは明智探偵事務所で寝泊まりすることになりました。
しかし、怪人は簡単にマユミさんを誘拐してしまいます。
明智小五郎や小林少年にしては、珍しい失策です。
マユミさんはトランクに押し込まれて、船に乗せられました。
怪人の子分たちはマユミさんの入ったトランクを川に沈めてしまいます。
彼らはマユミさんを殺すつもりなのでしょうか。いや、違います。
どうやらゴングの隠れ家は川の底にあるようです。
ゴングに捕まったマユミさんは泣き出したでしょうか。怖くて部屋の隅に縮こまったでしょうか。
いいえ、大胆にも彼女は針金でドアの鍵を開けると、部屋から抜け出しました。
そしてゴングたちの隠れ家を調べるのです。
ところが、マユミさんは魔人ゴングに見つかってしまいました。
ああっ、彼女は本物のマユミさんではなく、小林少年が変装していたのです。
ゴングは怒って、小林君を恐ろしい目に遭わせると言います。
明智探偵は小林君を助けて、マユミさんを守ることができるでしょうか。
少年探偵団やチンピラ隊も活躍します。そしてゴングの正体も暴かれるときが来るのです。








