(2)から続く
⚫︎白米千枚田〜名舟
輪島から海岸沿いの249号線を珠洲方面へ進む。復旧した真新しい水道管が道路の上に続いていた。日本海は青く、隆起した海岸は白くて美しい。
白米千枚田と名舟の間で大規模な地滑りが発生し、長く通行止めが続いていたが、隆起した所に道路が新設され、5月2日から通行可能になった。
その新しい道を走って先へ進む。
青いのは水道管
元は海だった場所に新設された道路
⚫︎南志見地区
曽々木海岸、塩田村の辺りは通行止めのため、南志見から柳田里線に入って、柳田、鵜飼、飯田経由で高屋を目指す。
南志見多目的グラウンドには黒い瓦屋根の木造の仮設住居があった。
プレハブの仮設とは趣が大きく異なる。4月末に完成して100世帯が入居しているとのことだが、家賃補助があるのは1年から2年で、その後は市営住宅に転用となる。
仮設住居には「賃貸型仮設」、「公営住宅」、「建設型仮設(プレハブまたは木造)」の3タイプがあるが、どのタイプも期間限定なので、入居中に自力で住まいを用意しなければならない。
⚫︎高屋の仮設住居に入居した前家さんに聞く
前家さんは一人暮らし。能登なまりで陽気に話す。
半年以上を過ごした前家さんのマイカー
仮設住居の前は漁港。
地震で自宅には住めなくなり、仮設住居に入るまで車の中で過ごした前家弘さん(72)は大工だ。しかし、崩壊寸前の自宅は、手の施し様がない。
7月半ばに入居できたことを嬉しそうに話す。お酒が好きなご様子だった。
入居者は高齢者ばかりで、もうすぐ圓龍寺の塚本さん(能登原発建設反対運動の中心にいた住職)も入居してくるとのこと。
「金沢に出て行っても若い者と違って仕事はない」
「家も壊しても立てる金がないし、建てても後継がいない。この仮設住居も1年から2年で出ていかなければならない」
「一番いいのは、自分の家のあった場所に仮設住居を建ててくれることだ」
私たちが訪問した日の翌々日8月10日、前家さんの崩壊寸前だった自宅の屋根が海側に崩れ落ちたと池崎さんから連絡があり、写真が送られてきた。「その日、地震は感知されていないので、疲労骨折のようなものと思われる」とのことだ。
前家さんのご自宅
8月10日に屋根が崩れ落ちた
(4)へ続く