「女だらけの死体ファイル」(上野正彦)
上野正彦さんと言えば、長年監察医として、検死を扱ってきた経験から、「死体は語る」で法医学というものの重要性を訴え、最近のドラマには欠くことのできない要素となっています。
現役を退いて30年たっているが、再鑑定の依頼が続いているようだ。
上野さんはたくさんの著作がありますが、この作品は女性が関わった事件について書いています。
最近は、かなり様変わりしていると書いています。
プロローグ
1章 女性として生きた切ないファイル
死んだわが子と1年半も暮らした歌手
六本木ヒルズにあった瓶詰め胎児
出産直前に蹴られて流産した母親
彼を奪った親友をバラバラにした女
雪道の焼死体が語る無実の叫び
2章 惑わしたのは誰なのか
娘の親友の亡骸を娘と間違えた真相
酒瓶を抱いた路上死体の謎
バラバラ殺人に共通する心理
切り刻んだ死体が浮いてきた
女の命である髪の毛が・・・・・
3章 男に裏切られた女の運命
男に翻弄され続けた二人の女性
結婚詐欺師を愛した果てに・・・・・
お嬢さまの恩をアダで返した男
不倫が招いた意外な結末
着衣からわかった殺人
4章 有名女性の死に隠された謎
マスコミが殺到した女性歌手の死因
グレース王妃の事故死の矛盾
マリリン・モンローを解剖した日本人
ダイアナ妃の秘された死体所見
宇野千代さんに見る長生き女性
5章 女性だからできた犯罪ファイル
医療知識を悪用した保険金殺人事件
妻に殺されかかった夫の複雑な愛情
毒殺された人の声を聞き分ける機械
女性が続々手を染める殺人の符合
母親に毒を飲まされた少女のその後
6章 愛を失った母親の最後の叫び
夫と次男を海に突き落とした女
娘をひき殺させた女の金欲
貧しい母親が抱いた殺意
悲しき母子が書いた9文字の遺書
わが子殺しの母が残した愛情
エピローグ
監察医制度が確立しきれていない地方では、慣れない検死で、殺人が病死、事故死で処理されており、冤罪も起きている現状が未だに続いていることに、むなしい気持ちになります。
実際に関わった事件をもとに書き綴っているので、引き込まれますね。