最終選考会第2回は、草原の椅子

「草原の・・・」といえば、「輝き」ですね。アグネス・チャンちゃんじゃなくて、ナタリー・ウッドだっけ?!あと、松浦亜弥さん・・・あれは「人」だぁ。
「草原の椅子」でイメージするのは、奥日光・戦場ヶ原のベンチ、男体山を眺めながらまったりと日向ぼっこ・・・いいなぁ♪
ということは、置いといて。
地の果て、最後の桃源郷と言われる地、異国の高原の街を4人の日本が旅している。
中年の男がふたり、女性がひとり、そしてちっちゃな男の子。
とうとう来てしまいましたねみたいなことを言ってるこの人たちは、なぜここに来たの?
と思うなかで、物語は始まるのでありました。
カメラメーカーに勤める遠間憲太郎(佐藤浩市)さんは50歳、愛人ができて飛び出した医師の妻(若村麻由美)と離婚し、娘の弥生(黒木華)を育ててきました。
営業局次長、中間管理職として会社の営業ノルマに応えなくてはならないし、事故で車椅子生活となってしまった部下にも他部所への配転も告げなくてはならない。理想と現実の狭間で頑張っています。大学生になった娘のことも気になる。男はいないか?気になる年頃だ。でも娘は「ズレてる」と言います。
ある夜、取引先のカメラ店の社長である富樫(西村雅彦)さんから呼び出された遠間さんは、「魔がさした」ことからトラブルに巻き込まれ、灯油を全身にかぶった姿の富樫さんの危機を救ったこともあり、富樫さんから「親友になって欲しい」と頼まれます。
またある夜、タクシーに乗っていて目についた女性を追って、店に入ると、その女性はこの陶器の店を経営している篠原貴志子(吉瀬美智子)と、名乗ります。
心ひかれた遠間さんは、10万円の皿を買ってしまう羽目に。さらには18万の・・・。俺も魔が差したか・・・?
そんな折、遠間さんは、思いもよらない頼まれごとをしてしまいます。
弥生さんがバイト先の上司喜多川(中村靖日)さんを連れてきます。聞くと、喜多川さんは連れ子のいる女性祐未(小池栄子)さんと結婚したが、母親の虐待と育児放棄のため、4歳の息子圭輔(貞光奏風)君は話すこともできず、心を閉ざしているとのこと。妻が家を出てしまった喜多川さんの苦境を案じて、喜多川さんの出張中、圭輔君の面倒を見てほしいというのです。
娘の説得もあり、引き受けざるを得なくなったものの、途方に暮れていた遠間さんに、富樫さんは実家のある瀬戸内海の島にふたりを誘います。身障者用の世界でひとつしかない椅子を手作りで作り続けている富樫さんの父親(井川比佐志)。大事にしている怪獣の縫いぐるみのために椅子を作ってもらった圭輔君は、徐々に心を開くようになってきました。
遠間さんは、かつて面倒を見たことのある青年鍵山(AKIRA)さんから、パキスタンのフンザという「桃源郷」のようなところで撮った写真集をもらいます。この写真集に心打たれる遠間さん、富樫さん、篠原さん。そして、この写真集を目にした圭輔君は山の名前を覚え、写真を眺め続けます。
ところが、妻から離婚を突き付けられた喜多川さんが育児放棄、母親の祐未さんも拒否しキレまくります。
風疹に罹った遠間さんの見舞いに来ていた篠原さんが圭輔君を守ります。
両親に見放されてしまった4歳の男の子をどうしたらいいのか・・・。
圭輔君を養子にして育てたいという遠間さんは、「同情や思い付きでは言ってはいけない」と、篠原さんにたしなめられます。
娘の弥生さんも「大学を辞めて圭輔君を育てたい」と言いますが、遠間さんは悩みぬいた末、施設に預けることを決断します。
自分が悪い子だからみんないなくなってしまうと思っている圭輔君。
遠間さんは、圭輔君を抱きしめ最後にフンザに行こうと思うと提案します。そして「自分で決める」ことを求めます。「行きたい!」という圭輔君。
カメラ店の経営が思うようにいかず、重大な決断に足がすくむ思いをしている富樫さん、自分の過去の呪縛から解き放たれたい篠原さんもまた、最後の桃源郷フンザに行こう!と決意します。
砂漠の先に雪山の見える光景、遠間さんは自分一人で砂漠の丘の頂上で砂を集めてこい、と圭輔君に告げます。
それぞれが、それぞれの想いで砂漠を登ります。
高原でそれぞれが下した決断は・・・?
自分の人生、どう進んでいけばいいのか・・・?
「正しいことを繰り返しなさい」という老人。
4人は、新たな一歩を踏み出すのでした。
素晴らしい自然の姿に、こころ打たれます。
ああ、いい映画を観せていただきましたね。