
この作品は、1954年11月公開の「ゴジラ」の大ヒットを受けて、全国の映画興行主から強く続編を要望する声により、急きょ製作され、翌1955年のゴールデン・ウィークに公開されました。
そのため、監督はおなじみの(と言ってもこの時点ではまだ1作)本多猪四郎さんでなく、小田基義さん。そして、この作品から我らが円谷英二さんが「特技監督」となりました。
前作で、ゴジラは「オキシジェン・デストロイヤ」で死滅したのでは?
大丈夫(なにが?!)です。実はゴジラはもう1匹いたんですねえ。恐るべし、原水爆実験よ!
東京が壊滅してしまいましたので、舞台は大阪です。
月岡正一(小泉博)さんは、「海洋漁業」という水産会社の魚群探査用セスナ機のパイロット。目視で魚群を見つけ、その情報を漁船に連絡すれば、大漁間違いなし、めでたしめでたし・・・、ではない。
今日も、魚群を発見し、無線で連絡します。大阪本社の無線通信士である山路秀美(若山セツ子)さんは、社長令嬢で、月岡さんの婚約者。デートの約束などをしたりしています。「そりゃ規則違反違いまっか?」という同僚の井上やす子(木匠マユリ)さんの突っ込みも、あんみつで買収です。
そんなところへ、月岡さんの同僚で同じく探査飛行していた小林弘治(千秋実)さんからエンジントラブルで不時着するとの緊急連絡が。
急きょ救援に向かう月岡機。場所は岩戸島付近・・・。その名を聞いて、あれ?と思った方は惜しい! 前作は「大戸島」。
運よく小林機を発見し、無人島で暖をとる二人でしたが、ただならぬ気配に、ギョッとなります。
「ゴジラがいる!」
そればかりでなく、もう1匹の怪獣がいて、争っているのです。
2匹の怪獣は、激しく組み合っているうちに、海中に転落します。
その隙に二人は脱出に成功します。めでたしめでたし・・・、ではない。
大阪に戻った二人の話から、田所博士(清水将夫、日本沈没ではない)は、ゴジラと戦っていた怪獣を「アンキロサウルス(通称:アンギラス、ほんとか?!)」と断定します。
有名な学者の研究によると、アンギラスは、完全な肉食の暴竜で、脳髄が体内の数か所に分散しているため、はなはだ敏捷。特徴は他の個体に対して激しく憎悪し、執拗に攻撃する、とのこと。いやな奴を起こしてしまったようだ。
東京から山根博士(志村喬)をお呼びして、ゴジラ対策のお話を聞くことにしましたが、「何もありません。無力です」と情けない。「はなはだ消極的ですが・・・」という対策は、ゴジラは原水爆実験の体験からか、光に対する憎悪の念が強い。徹底的な灯火管制と、照明弾による誘導で、海上へ遠ざけるのがよろしいとのこと。
かくして、ゴジラが大阪湾に出現しましたが、灯火管制と、照明弾の誘導で、危機は回避されたかに思われました・・・、でもいるんですよね、こういうときやっちゃう奴って。
よりによって、タンク車かよう。
おまけに、照明弾によって、もう1匹いやな奴を呼んじゃいました。
アジャパア!です。
大阪を舞台に、ゴジラ対アンギラスの壮絶な戦いが始まりました。
映画で観たときには画面が暗くてよくわかりませんでしたが、DVD版ではその死闘ぶりがうかがえます。
頑張れ、アンギラス(すんません、アンギラスファンなもんで・・・)!
首を食いつかれ、断末魔の声は、大阪城の壁にヒビを走らせます。
大阪城を破壊し、倒したアンギラスに熱線でとどめをさすゴジラ。
壊滅状態の大阪。大阪の缶詰工場を失った山路社長(笠間雪雄)は、北海道支社を根拠に再建を誓います。
ところで、ゴジラは?
無敵のゴジラを倒すことができるのか?
今度は、F86の出番だ。
この作品は、ゴジラが強敵と対決するスタイルを作った初めての作品です。
最初のライバル、アンギラスに対する熱い思いは強く、「遅れてきたラドンやモスラがあんなに出番があるのに、おいらのアンギラスはなぜ出さん!」って、死んじゃってるじゃん。
やがて、復活したアンギラスは、よい子の味方になっていて、しかも弱い!最後のに至っては、丸くなっちゃって、ダンゴ虫じゃないっての!
「こんなの、僕のアンギラスじゃないぞ!」と、泣かされたものです。
はあはあ、興奮してしまった!
すばらしい作品でした。