


新宿武蔵野館で、「パイレーツ・ロック」を観ました。
昔、ロックは不良の音楽だ!と言われていた時代がありました。
ビートルズやローリング・ストーンズの登場で、若い人たちが、キャーキャーいうたびに、大人たちは眉をひそめたもんでした。
そのビートルズを生みだした国、イギリスはさぞかしロックに寛容だったかと言うと、そうではなかったようです。
1966年、イギリスのポップ・ミュージックの人気が最高潮に達し、世界中を席巻していた時代。その英国はラジオ局は国営のBBCラジオのみで、民放は認められておらず、しかも法規則によって1日に流せるポップ・ミュージックは、わずか45分だけ・・・。
さすが「紳士と貴族、歴史と伝統」の国ですなあ。
「好きな音楽を聴きたい」という自由を奪われたイギリス国民は、海外から流れてくる音楽に耳を傾けて飢えをしのいでいましたが、ついに画期的な方法で、音楽を聴く自由を獲得しました。
国内で音楽が流せないなら、領海の外にいる船を放送局にすればいい。
こうして、海賊ラジオ局「Radio Caroline」「Radio London」が誕生し、24時間ロックを流し続けました。
イギリス国民の半数以上の2500万人が、この放送に耳を傾け、音楽に夢中になったとさ。
それに対し、大人たちは、国会で「海洋犯罪法」を成立させ、海賊ラジオ局を違法としてしまったのでした。
でも、どんなに大人たちが法律で押さえつけようとしたって、ロックの灯は消えません。
BBCそのものが、大きく模様替えを余儀なくされることになります。
この「パイレーツ・ロック」は、その海賊ラジオ局の姿を描いたもの。
映画そのものが、ロックンロールです。
よい子の皆さんは観てはいけませんよ。
タバコとドラッグで、高校を退学になったカール(トム・スターリッジ)君は、「更生」のため、名付け親(ゴッド・ファーザーですね)であり、母親シャーロット(エマ・トンプソン)の旧友である、クエンティン(ビル・ナイ)さんの船に預けられることになりました。
でも、その船こそが、海賊ラジオ局「ラジオ・ロック」であり、クエンティンさんはそのラジオ局のドンだったのです。
カール君が船に乗り込むと、そこは「悪の巣窟」・・・ではなくて、個性あふれるパイレーツ、男どもの集団でした。
唯一女性として料理係のフェリシティがいました。でも大丈夫(何が?!)、「わたし、レズビアンだから」と彼女が言うので、みんながっかりです。
24時間の放送ですから、DJもいっぱいいます。
・アメリカからやってきた元気いっぱいの人気DJ、「ザ・カウント(伯爵)」(フィリップ・シーモア・ホフマン)。
・皮肉屋だが、ユーモラスでセクシー(ラジオだから体型がわからない)な、デイヴ(ニック・フロスト)。
・とにかく人のいい、サイモン(クリス・オダウド)。
・無口だがそれが女性を虜にしてしまう、マーク(トム・ウィズダム)。
・やることなすことウザい、アンガス(リス・ダービー)。
・朝番組担当で、通称「夜明けの散歩者」、人見知りで引きこもりの、ボブ(ラルフ・ブラウン)。
・ニュースと天気担当でいかなる状況(結構イタズラされています)でもニュースを読む男、ニュース・ジョン(ウィル・アダムスデール)。
そして、心やさしいエンジニア、ハロルド(アイク・ハミルトン)。
カールと同室のシック(おバカな)・ケヴィン(トム・ブルーク)。
パイレーツたちの楽しく破天荒な生活が始まりました。
それに対し、政府の担当大臣であるドルマンディ(ケネス・ブラナー)氏は、海賊ラジオ局の撲滅を宣言し、忠実な部下であるトゥワット(ジャック・ダヴェンポート)氏を使い、撲滅作戦を展開します。
スポンサーに圧力をかけ、兵糧攻めにする作戦に対し、クエンティンさんは、イギリスを離れていた伝説のDJ、ギャヴィン・カヴァナ(リス・エヴァンス)を呼び戻し、スポンサーを引き寄せることに成功します。
カールとクエンティンさんの姪っ子のマリアン(タルラ・ライリー)の恋の行方は?
いい人サイモンさんの結婚と破局(17時間後)。
DJナンバー1をかけてのザ・カウントとギャヴィン・カヴァナのチキン・レース。
カールの父親がDJの中にいるのでは・・・?
そして、違法とされた「ラジオ・ロック」号の行方は?
素敵な名曲とともに、ドラマがはじけます。
まさに、ロック!
素晴らしい作品に巡り合いましたよ!