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"災害の記憶と記録、後世につないで、さあ防災を"
2015.2.11(Wed)10:00-12:00@神楽会館

こんばんは!
今回は、本日午前中に神楽会館で行われた防災ジオ講座についてご紹介です

ご承知のとおり、ジオパーク活動では、自然(大地)と人間との関わりを感じられる・学ぶことができます。
豊かな農作物・壮大な景観・磨崖仏や石橋といった独特の人間文化創造など、人間にとって恩恵を受けることもあります。
一方で、風水害・地震・火山活動など、時に自然は人間に牙をむきます(災害といったマイナスの面)。
恩恵と災害を受けながら暮らしている人間。
これまで、自然の恩恵部分(自然・食・文化など)を学び、弊ブログでもPRしてまいりました。
ただ、災害面についても地元の人間が学ぶ(どのような災害が予想されるか→どう対応・避難する?)ことが大切です。

今回、ジオガイド講座で、初めて防災面内容を実施。
また、ジオガイド受講生以外の一般参加者も募集されました。
パネルディスカッション形式で、3つのテーマから自然災害について学びました。
☆テーマ→「風水害」、「地震」、「火山
☆パネリスト
 ・竹村 惠二  氏(京都大学大学院教授、火山について講演)
 ・櫻井 成昭 氏(大分県先哲史料館主任研究員、地震について講演)
 ・後藤 匡豪 氏(地元消防団員・建設業、風水害について講演)
▽防災ジオ講座のチラシ(表・裏)
 開催趣旨やスケジュールなどのご参考に


以下、講座の模様をみなさまに共有いたします!
※あくまでもtakatchの個人的なメモ書きです=講座内容のすべてだとは限らない・要約がある旨、ご容赦願います。

(0)今回の講座の意義について(竹村氏より)

・大地で暮らす=災害もつきもの⇒だからこそ、災害について学ぼう
  →まずは体験談を聞こう後世へ伝える


(1)風水害~平成2年大水害での体験談~
平成2年7月2日、大分県豊肥地域を大水害が襲いました。
市内でも、大野川が大氾濫。橋梁や家屋に甚大な被害をもたらしました。
▽大野川流域の複数の橋が決壊するなど大被害(講座内の画像より)
 
また、平成5年、そして記憶に新しい平成24年の北部九州豪雨など、豊後大野市は水害が多い地域です。
今回、三重町の後藤氏より、平成2年の大水害当日の体験談を伺いました。
 
<水害当日の様子>
後藤氏は、被害の大きかった三重町百枝地域にお住まい。
・数日前から梅雨前線の影響で、朝から雨が降っていた(11時~12時にたくさん降った印象)
・河川の状況を見ながら、原田橋を渡り、大野町の現場へ向かった。
・AM10時、現場に到着し、作業中に無線連絡が入る「自宅が大変!もう浸水しそう!!
・現場から急きょ帰ろうとする→But,大野橋・原田橋が通行止(By.増水)
・結局、犬飼まで回って何とか自宅付近まで→But,自宅付近には近寄れないほどの大増水地区がダムのようだった。

<消防団活動>
・7月3日…消防団出動要請(220名)→西原・宇対瀬地区にて復旧作業
・  ~7日…第2分団出動→宇対瀬地区
・   8日…第3分団・・・操法大会終了後、西原地区へ復旧応援
⇒この水害を経験し、消防団の役割について考え始めた。

<災害を振り返って(水害対策)>
・「自助」…自分の身は自分で守る!
ハザードマップの作成(浸水想定区域の確認)
家の浸水を予防する(家を高くする)
水から生活を守る(Ex:台所・トイレ・寝室を2階にするetc...)
・日頃から地域や家族で防災についての話をする
気象情報に注意する(インターネットの活用)
・「共助」…地域内での横のつながりを大事に協力し合う(Ex「どこに誰が住んでいる」etc...を地域内で共有

<住民(後藤氏)の思ったこと>
夜じゃなくてよかった!

<コーディネーター竹村氏よりコメント>
・「夜じゃなくてよかった!」…この感想は大事。人生の1/3は夜。その時間帯の対策も必要。
記憶(体験)+記録(写真・記事など)から学ぶ→どちらも共有が必要!⇒何度も見聞きすると、被害も伝わってくる
・災害の原因・対策→過去の歴史からも学べる。
・現在、洪水の量・スピードが大きい要因は3つ
 …1)ダム・水路などを築き、水を一か所に集めて捌けようとする⇒But,いざの時、水かさが増してスピード↑
   2)山が荒れる=山に貯蔵・涵養機能がなくなる⇒山の水がそのまますぐに川へと流れる
   3)非溶結部分の下にある柔らかい層強い水流で簡単に流されてしまう。


(2)地震~地球のいとなみ 人のいとなみ~
櫻井氏より、古文書をもとに、大分県で起こった3つの大地震について学習。
<3つの地震>
1)慶長豊後地震(慶長元:1596年7月)…瓜生島が沈んだ伝説の残るあの大地震
2)宝永地震(宝永4:1707年10月)…岡藩の石垣崩壊61か所、城下の家屋崩壊3軒
3)安政地震(安政元:1854年11月)…豊後では2度起きている(2回目は豊予地震の影響)
 ⇒@岡藩…心の平癒のため、八幡様&仏様(愛染堂)にて殿様が祈願

<災害と歴史資料>
・書いた人物・時代によって、様々な書き方・内容・バイアスがある⇒可能な限り記述内容を腑分けすることが課題(多様に考える必要あり)
・所在確認調査…古い文献はなかなか残らず(=すべての年代を判明できるわけじゃない)→より多くの歴史資料の所在確認を行う。
⇒「おおいたの地震と津波」刊行(By.先哲史料館)…まずは過去の地震災害の様子を知っていただきたい!

<コーディネーター竹村氏よりコメント>
・過去の古文書…Ex:「○○が揺れた」=「○○には活断層あり?」と参考になる
 →「岡藩でも大地震があった」の表記→「豊後大野でも地震があった歴史」の証明
自分たちの記録を残そう→後世にも伝わる。
・場所によって、地震の被害が異なる
 →・南海トラフ(海溝型)=揺れの波長が長い→高いビル・標高高い場所(岡城など)が揺れる
   ・活断層(内陸型)=低い建物が揺れる


(3)火山
コーエィネーターの竹村氏が九州の火山や、災害論について講義くださいました。
▽九州の各活火山の写真も見ました。
 
<火山活動と災害>
[注目すること]
 ・火山活動による災害→過去の活動による地形・地質関連災害と活火山による被害
 ・九州中部の活火山(阿蘇・くじゅう・別府地域)
 ・豊後大野に見られる過去の火山活動と現在の影響
[視点・考え方・方法]
 ・過去の火山活動(起ってきたことは起こりうること)→Ex:地質年代、地形と地質
 ・活火山の活動の過去と現在→Ex:古文書、観測
 ・社会条件(人間の営み)の状況→Ex:「インターネットがなくなったら??

<災害の誘因と素因>
誘因(自然の都合)
 →気象誘因(大雨・強風)、地震誘因(強い揺れ・地表の変位)、火山誘因(噴火噴出物・土石流)
素因(受ける側の状況)
 →地形・地質生活様式(街の様子・建物・インフラ)、発生時期・時刻・天候(※素因or誘因区別が難しい)

<自然災害の持つ意味>
誘因(自然現象)人間では変更×
 ⇒素因(受け手側)となる要因の吟味と対応←災害・被害軽減に有効!
・If.誘因が発生→素因を含め、ある場所や周辺がどうなるかを考え、準備する
 →※地形・地質の有り様が重要な情報!=ジオの知識Need
 →総合的な自然&人間社会との関係を災害という面から考える必要あり⇒被害想定
    ↓
<被害想定のあり方> 
・誘因の特定&規模推定
・影響素因の特定&条件設定
・災害規模推定  
 ⇒役割づくりが大切!(国の役割・地方自治体の役割・地域の役割)


(4)質疑応答など
会場からの質疑・感想・コメントが多く寄せられました。
非常に参考になる内容ばかりでしたので、ご紹介いたします!

・阪神大震災@北丹町…1月17日(地震発生日)夕方までに、家に閉じ込められた人が全員救助された
 →Be:地域の方が「あそこには○○さんがいる」など、よく地域を知っていた
 ⇒教育の場でもっとこうした地域の絆の大切さを伝えてほしい

・豊後大野の水害について(当時を知る公務員より)
 →・H2水害…無警戒だった。天気情報の連携が出来ず電話がつながらない=便利な物も肝心な時につながらず
   ・H5水害…台風で「雨が強いな」程度の認識&「H2ほどはないだろう」の油断もあった→But,H2の経験を生かせた部分もあった
  ・CATVで、犬飼大橋・沈堕の滝の様子を映しているので、参考にしてほしい

・東日本大震災…学校ごとに指導が異なっていた(Ex:子どもを帰宅させた⇒But,両親は帰宅できず家で子ども独り状態)
 →家庭で子どもと防災について語りたい(統一認識を図りたい)
[後藤氏]今回、自分の子どもが初めてH2水害の写真を見て、家の近所が昔大水害に遭ったことに驚いていた⇒ことあるごとに、子どもと身近な防災を語る(伝える)ことが大切

・防災士…大分県では、積極的に養成→資格Get+実際に地域活動してほしい
・ジオガイド…リスクをはらんだ地形についても、地域内の方にも教えてほしい。

地震体験車(揺れるレダー)の導入→子どもや地域で地震を知る
 ⇒まずは、「揺れた時にどうすればよいか(対応)」を知ろう!
 ⇒夕食時にでも、家族と地震の話をしよう!

<まとめ>
[後藤氏]
 ・自分の住んでいる地域で起こりうる可能性を知っておく(水害以外にも)⇒地域の方とも共有・確認を!
[櫻井氏]
 ・子どもが、「何?」と聞く機会を大切に。
 ・今一度、デジカメ・ビデオデータを大切に→画像・映像は非常に分かりやすい(伝わりやすい)
[竹村氏]
 ・まずは「地域にあるリスク」を把握すること
  →素因(受け手)を考える(Ex:「人はどう対応するのか?」etc...)
  →判断:個人・地域・国・防災士etc...いろんな単位で行う
    ↑のためには、学び(知識)&備え(心構え)が必要!
 ・避難所=「ある程度時間がたって、そこから安心して活動を始められる場所」
 (×「一気に30m登る場所」→○「まずは10mごとなど、ステップごとで留まれる場所を」)

…講座は以上です。



【takatchの感想・学び】
○「過去の歴史」を知ることが大切→「記憶」&「記録」を大切に→後世に伝えよう!
「温故知新」という言葉、みなさまご承知のことでしょう。
故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る…過去を学ぶことで、新しい発見や教訓(参考)が見つかるということです。
歴史学習の目的・意義はそこにございます。
竹村氏「起ってきたことは起こりうること」が象徴的でした。
自然災害はいつ起こるのかは不明。
ただ、過去の災害を例にすることで、どう備えたらよいのか参考になります。
その過去を参考にするために必要なものが、記憶と記録ということも、改めて自分の中で定義づけできました。
後藤氏のように、水害当時のことを、時系列・行動・心情を交えて教えてくださったので、興味深くお話を伺えた&私が思っていた以上に被害が大きく大変だったことを実感。
こうした当事者の話(記憶)、文献や写真などのデータ(記録)があると、相手にも伝わるんだなと。
相手に伝わり、自分の身近に感じられると、人は興味を持ち、行動を始めるかもしれません。
今回、私はこの学びを、ブログ発信ということで、微力ながらも行動に移しています。
みなさまへの共有・啓発はもちろん、記事にまとめながら自分の復習&この記事もいずれ記録になれればという思いです。
「まずは過去を知る→記憶・記録で学ぶ→伝える」というサイクルは、防災だけでなく、他の分野でも活きそうです!
私も、青年団1年目で東京の全青研にて、助言者より「青年団の活動記録などの書物を読んで歴史を学びなさい」とアドバイスを頂いたこともあり。
また、平和学習も同じ(こちらは体験世代の高年齢化もあり、記憶&記録が急務)。
今回学んだサイクルを大切にします!

☆地域の様子(地形・人口など)を知る必要がある
自然災害は、自然現象(誘因)+人々の生活様式・分布(素因)の問題だと学習。
ジオ講座にて各ジオサイトの地形・成り立ちについて学んでいます。
また、そこから、少しずつ地質学にも興味を持ち始めました(いずれは土木工学・土壌学も勉強を始めたい)。
そうした自然面はもちろん、人文面(人口・年齢層・公共施設・ライフラインなど)についても知る必要があると改めで感じました。
「あそこには独居老人が暮らしている」、「あそこが避難所や!」、「電波が入りづらい場所かも」など、地域を歩いて、地域の方と交流して、地域の実情を知ることも、防災上必要だなと。
これは草の根ですが、大切なことですね!
改めて、地域を知る&つながることが大切であり、今の自分の課題だと痛感しました。

☆家族と防災の話を&自宅での備えを
家族と防災の話、したことないですね。。。(苦笑)
我が家の場合は、土砂災害が懸念です。
防災の話をすると同時に、備えも大切。
心構え(ソフト面)+家具の固定・非常品の常備(ハード面)をしっかりと☆

☆地元青年団でも、防災活動を(地域や災害を知る&実践的な体験も)
各メンバー、こうした講座への参加、東北被災地での交流、消防団活動など、災害やボランティアについて学んでいます。
ぜひ、一度、メンバー一同で一緒に学ぶ&体験する企画を行いたいです☆
地域&防災を知る活動(街歩きや災害・防災の基礎知識学習)、実践的な企画(応急救命・避難訓練など)です!
これもまた、メンバー内で企画したいと思います☆
※今月22日開催の「豊後大野目ジオ押しツアー3~大野川編~」でも、とあるジオサイトで、水害について学習いたします。


…長文失礼いたしました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございましたm(__)m
みなさまの参考になれば幸いです☆

以上です!

 

YouTubehttp://urx2.nu/LkZA
☆HP→http://takatch.g3.xrea.com/

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